土地の売買をおこなううえで、その土地がどのような地区に属しているのか、どんな規制がかかっているのかを把握しておくことは重要です。
なかでも、臨港地区はあまり聞きなじみがなく、どのような規制があるのかを知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、臨港地区の概要や分区、規制の内容など、臨港地区にある土地を売買するうえで知っておきたい情報をご紹介します。
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臨港地区とは
臨港地区とは、港湾機能を確保するために都市計画で定められる地区のことを指します。
港湾法に基づく制度であり、港湾管理のために港湾と一体的に利用する必要がある背後の陸域が指定されます。
都市計画区域内における土地の利用用途を示した地域地区の1つで、臨港区域に指定されると建築などの行為が制限されます。
臨港地区が設けられる目的
臨港地区が設けられる主な目的は、港湾の管理運営の円滑化です。
港湾は、船舶が停泊する水域と、船舶への乗り降りや荷物の積み下ろしをおこなう陸域の2つにわかれます。
港湾の持つ物流拠点やレクリエーションの場などの役割を果たすには、水域と陸域が一体となって機能することが必要不可欠です。
そこで、港湾が持つさまざまな役割を十分に果たせるよう、陸域における構造物の建築を制限できるようにしたエリアが臨港地区です。
さらに、港湾を機能別に区分した「分区」を設けてそれぞれに応じた制限を定め、港湾の役割がより発揮できる環境を整備しています。
臨港地区で届け出が必要になる開発行為
臨港地区では、一定規模以上の工場または事業所の新設・増設をおこなう場合に届け出が必要になります。
具体的には、敷地面積が5,000㎡以上または床面積の合計が2,500㎡以上の場合には届け出が必要です。
また、上記に該当しない場合でも、分区内で建築基準法に基づく建築確認申請をする際には各自治体であらかじめおこなうべき手続きが定められています。
その建造物が条例に適合していることを港湾管理者が確認したあと、建築確認申請が受理される仕組みです。
臨港地区の分区は、自治体の条例ごとに内容が異なるため、売買を検討している土地が臨港地区に属する場合には内容を確認しておきましょう。
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臨港地区の分区とは
臨港地区では、その港湾が持つ役割ごとに分区が設定されています。
分区は各自治体のホームページなどで確認できるので、土地を売買する前に確認しておきましょう。
臨港地区の分区についてご紹介します。
分区の目的
臨港地区の分区が設置される目的は、港湾の持つさまざまな機能を十分に発揮させることです。
港湾の持つ役割はさまざまで、工業製品の輸送を目的とした港湾と、クルーズ船の乗客が乗り降りする港湾では必要な施設が異なります。
そこで、あらかじめ港湾をその役割ごとに分けて目的が異なる建築物や施設が混在しないようにすれば、港湾の機能を十分に発揮することが可能になります。
このように、港湾の持つ役割に応じて規制の内容を定め、より円滑な港湾運営をおこなうために設置されているのが臨港地区です。
分区の種類
分区には、さまざまな種類の区域が存在します。
たとえば、旅客や一般貨物の取り扱いを目的とする商港区、ヨットなどの利用を目的としたマリーナ港区があります。
工業での利用においては、工業港区があり工場やその他の工業用施設を設置することが目的です。
また、石炭や鉱石などのバラ積みを通例とする物資を扱う特殊物資港区、海産物を扱う漁港区もあります。
さらに、危険物を扱う保安港区、景観の整備と港湾関係者の厚生の増進を目的とした修景厚生港区もあります。
このように、さまざまな役割を持つ港湾がその機能を十分に発揮できるよう、臨港地区では分区を設けて、それぞれの港湾にあった規制を設けているのが特徴的です。
分区の実際の運用
先述したとおり、分区は各自治体の条例によって指定されます。
自治体が分区に指定する必要があると判断した場合、前述した分区のなかから適切な分区を選んで指定する仕組みです。
臨港地区に設定されたすべての土地が分区の指定を受けるわけではなく、臨港地区内でありながら分区の指定がされていない土地も存在します。
このような分区の指定がされていない土地は、無分区と呼ばれることもあります。
無分区の土地は分区ごとの規制はないものの、まったく規制を受けないわけではないので注意が必要です。
無分区の土地の場合、用途地域が適用されるうえに、地区計画などで土地利用が規制されるケースも多く見られます。
売買を検討する土地が臨港地区に該当する場合は、自治体の地区計画などで規制の内容を確認しておきましょう。
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臨港地区内の土地における規制
臨港地区における規制の内容は、各自治体が定める条例によって規定されています。
制限の内容はどの分区に属しているかによっても異なるため、臨港地区にある土地の売買をご検討中の場合には条例を確認しておきましょう。
臨港地区内の土地にかかる規制についてご紹介します。
規制の内容
臨港地区では、分区の目的に合わない建造物は原則として建築ができません。
具体的には、以下に該当する行為が禁止されます。
●禁止構築物(指定された分区の目的に合わない建造物)の建設
●すでにある建造物を改築または用途の変更で禁止構築物に変更する行為
どのような建造物が禁止構築物に該当するかは、各自治体の条例によって定められています。
ただし、公益上やむを得ないと認められる場合には、特例許可による建築が可能です。
また、現在すでに存在している建造物についての規制はないものの、改築などをおこなう場合は規制の対象となる可能性があります。
臨港地区は都市計画区域内に設けられますが、分区内では用途地域や特別用途地区の規定は適用されません。
そのため、用途地域ではなく各自治体で定めている条例の内容に従う必要があります。
実際の規制の例
では、実際に臨港地区に指定されている土地ではどのような規制がなされているのでしょうか。
例として、東京都の臨港地区における規制を確認してみましょう。
東京都では、「東京都臨港地区内の分区における構築物に関する条例」で、臨港地区の各分区における構造物を規制しています。
東京都における分区は商港区や漁港区をはじめとした7種類で、それぞれに建築物の規制が定められています。
たとえば、商港区では荷捌きに必要な施設や中央卸売市場の施設、税関をはじめとした港湾の管理運営上必要な施設などが建築可能です。
しかし、前述の条例で規定されていない建造物は、知事が公益上必要と判断し、やむを得ないと認めたものを除き建築ができません。
また、規模の大きな工場の新設や増設にくわえ、水域施設や危険物を扱う施設の建設または改良にも届け出が必要です。
届け出の内容が港湾の開発や保全に著しい影響を与えると判断された場合、行為の是正・改善をおこなう必要があります。
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まとめ
今回は、臨港地区の概要や分区、規制の内容など、臨港地区にある土地を売買するうえで知っておきたい情報についてご紹介しました。
臨港地区は港湾の保全と管理のために指定されるもので、臨港地区に指定された土地では建築などの行為が制限されます。
規制の内容は分区によって異なるため、臨港地区に指定された土地を売買する前には自治体の条例を確認しましょう。
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株式会社リードホーム スタッフブログ編集部
都心・城南エリアで土地・一戸建・マンションをお探しの方のために結束したファミリータイプ住宅売買の専門集団です。目黒区・港区・渋谷区・世田谷区・品川区・大田区の居住用物件のみに特化しております。ブログでは不動産売却などの記事をご提供します。