土地を売買するうえで、その土地がどのような地区に指定されているのかを把握しておくことは重要です。
なかでも、生産緑地地区という制度はあまり聞きなじみがない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、生産緑地地区の概要や制定された背景、指定される要件など、土地の売買前に知っておきたい情報をご紹介します。
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土地を売買する前に要チェック!生産緑地地区とは
生産緑地地区とは、計画的な農地保全による良好な都市環境の形成を主な目的とした地域地区です。
生産緑地法で指定された要件を満たす市街化区域内の農地が、管轄自治体によって指定されます。
生産緑地地区に指定された農地や森林は、生産緑地と呼ばれます。
生産緑地地区が指定される目的
生産緑地地区が指定される主な目的は、都市環境の保全です。
近年の大都市圏では都市化が急激に進んでいて、農地をはじめとした緑地が減少している地域も少なくありません。
しかし、緑地は地盤保持や保水などの働きにより災害を防止する効果があるなど、都市環境の保全に重要な役割を果たしています。
そこで、将来にわたって農地や緑地として残したい土地を生産緑地地区に指定すれば建築行為などに制限がかけられるため、計画的に緑地を保全できます。
生産緑地地区に指定された土地の制限
生産緑地地区に指定された土地では、以下の行為をおこなう場合に自治体の許可が必要です。
●建築物や工作物の新築・増改築
●宅地の造成・土石の採取・そのほかの土地の形質の変更
●水面の埋め立て・干拓
ただし、公共施設の設置や管理のためにおこなう行為や生産緑地地区に指定された時点ですでに着手していた行為、災害のために必要な応急措置は例外となります。
さらに、生産緑地では営農義務が生じます。
所有者は実際に生産緑地を農業などのために使用しなければならないほか、農業などが継続しておこなえるよう設備の維持管理をおこなわなければなりません。
土地を手放したいと思っても農地以外としての転用・転売が認められないほか、指定解除にも一定の条件を満たす必要があります。
生産緑地地区に指定された土地の税制優遇
生産緑地地区に指定される大きなメリットの1つが、税金が安くなることです。
生産緑地は固定資産税が農地評価・農地課税になるため、固定資産税の税額が低く抑えられます。
宅地並評価になる一般の市街化区域内の農地と比較すると、固定資産税が100分の1程度になるケースもあります。
また、相続税や贈与税の納税猶予の特例があり、一定の条件を満たせば納税が免除されるのもメリットです。
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生産緑地地区の制度が誕生した背景
では、生産緑地地区の制度はどのような背景のもと誕生したのでしょうか。
生産緑地地区の制度が誕生した背景をご紹介します。
生産緑地法の制定
生産緑地の誕生は、1972年の生産緑地法まで遡ります。
当時の日本は高度経済成長の真っただ中であり、都市への急激な人口流入が進んでいました。
急激な人口増加を支えるため緑地が宅地へ転用される例が増え、都市部を中心に緑地が急激に減少していきました。
その結果、住環境の悪化や保水機能を失ったことに起因する自然災害が多発し、大きな社会問題となってしまいます。
一方、大都市圏の一部自治体では、市街化区域内の農地の宅地転用を促すために農地の固定資産税と相続税の課税を宅地並みに引き上げました。
しかし、人口増加が著しい大都市圏においても緑地は重要な役割を果たすため、都市部においても緑地の保全はやはり重要です。
こうした問題を解決すると同時に、将来の公共施設用地としても都市近郊の農地を保全することが必要になるとの考えから、生産緑地法が制定されました。
生産緑地の制度は、緑地の環境機能などを考慮し、農林漁業との調整を図ると同時に優れた住環境を維持することを目的に制定されたものです。
しかし、生産緑地法の制定により誕生した生産緑地の制度は、思ったほどの成果を上げることはできませんでした。
生産緑地と宅地化農地の誕生
1972年に生産緑地法が制定されても、都市部の土地不足と地価上昇は止まらず、農地の宅地化の勢いもそれほど収まりませんでした。
そこで、1992年に生産緑地法が改正され、市街化区域内の農地は生産緑地と宅地化農地の2つに区分されることになります。
宅地への転用を積極的に推し進める宅地化農地と、農地として今後も保存を続ける生産緑地を分けたこの法改正は、都市計画において一定の効果を上げました。
1992年以降も、生産緑地法は法改正を重ねながら現在に至っています。
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生産緑地地区に指定される土地の要件
土地が生産緑地地区に指定されるには、生産緑地法で定める要件を満たしたうえで自治体の審査を通過しなければなりません。
指定について詳しく知りたい場合は、その土地がある自治体へ問い合わせましょう。
生産緑地地区に指定される土地の主な要件をご紹介します。
農林漁業に適正に利用されている市街化区域内の土地
生産緑地地区に指定されるには、現時点で農林漁業などの生産活動が営まれている必要があります。
また、生産緑地地区は市街化区域内の土地に関する制度なので、市街化区域内にある土地でなければ指定を受けられません。
公共施設の用地に適している土地・良好な生活環境の形成に効果がある土地
農地や緑地として保全することが良好な生活環境の形成に効果的だと認められれば、指定を受けることが可能です。
たとえば、公園に向いていると判断される土地であれば、生産緑地地区に指定される可能性が高くなるでしょう。
農地の保全により災害・公害の防止や良好な景観の維持につながる土地も、指定を受けられる可能性が高くなります。
面積が500㎡以上ある土地
生産緑地地区に指定されるには、森林や水路、池沼なども含めた面積が原則500㎡以上あることが求められます。
ただし、この最低面積は自治体の制定する条例によって変更することが可能です。
2017年の生産緑地法の改正に伴い、自治体が必要だと認め条例を制定すれば、500㎡を300㎡まで引き下げられるようになりました。
最低面積を引き下げる条例を制定している自治体であれば、500㎡に満たない土地でも指定を受けられる可能性があります。
さらに、最低面積を満たしていない場合でも、近隣の農地と合算することが可能です。
もし近隣にほかの方が所有する農地がある場合、それらの農地を合計した面積が最低面積よりも大きければ指定の対象になります。
ただし、ほかの方が所有する農地と合算する場合は、その農地を所有する方やそのほかの関係権利者全員の同意が必要です。
農林漁業の継続に適した土地
その土地での農林漁業の継続が可能かどうかも要件の1つです。
農業を営む土地であれば、日照条件が農業に適しているか、用排水などの農業に必要な施設が整備されているかなどが判断基準になります。
これらの状況を勘案して、農林漁業の継続に適した環境が整備されているかどうかを判断します。
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まとめ
都市計画上農地や緑地として保全していきたい土地を指定する生産緑地地区は、固定資産税をはじめとした税制優遇が受けられるのがメリットです。
しかし、生産緑地地区に指定された土地では営農義務があるほか、開発行為に許可が必要になるなどの制限がかかります。
生産緑地地区の指定は各自治体がおこなっているため、生産緑地地区の指定について気になる点がある場合には自治体に問い合わせると良いでしょう。
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株式会社リードホーム スタッフブログ編集部
都心・城南エリアで土地・一戸建・マンションをお探しの方のために結束したファミリータイプ住宅売買の専門集団です。目黒区・港区・渋谷区・世田谷区・品川区・大田区の居住用物件のみに特化しております。ブログでは不動産売却などの記事をご提供します。