土地の売買を検討されている方のなかには、景観地区という用語に対してなんとなくイメージを持っていても、内容を詳しく知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
景観地区には建てられる建築物に制限があるほか、工作物にも制限がかかるケースがあるため、景観地区にある土地を売買する際にはその内容を把握しておくことが重要です。
この記事では、景観地区の概要や制限、美観地区との違いなど、土地を売買する前に知っておきたい情報をご紹介します。
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土地の売買前に要チェック!景観地区とは
景観地区は、景観法で規定される都市計画上の区域の1つです。
まずは、景観地区の概要をご紹介します。
景観地区とは
景観地区とは、市街地の良好な景観の形成を図るために定められる地区です。
歴史的な建造物が立ち並んでいる地域など、景観を保存・継承していきたい市街地が指定されます。
景観地区内では、建築物のデザインや色彩が規制されるほか、自治体の条例によって建物の高さなどに制限をくわえることも可能です。
そのため、全国一律の具体的な基準が設定されているわけではなく、景観地区内の制限の内容は各地区によって異なります。
景観地区は、都市計画区域内と準都市計画区域内で指定されるものであり、それ以外の地域の場合は条例で準景観地区を指定できます。
準景観地区に指定された地域でも、建築物などにかかる制限の内容は景観地区と同じです。
景観地区には強制力がある
景観地区に指定された地域では、市町村が強制力をもって建築物を制限できると定められています。
景観地区内に建物を建築する場合には、制限に適合しているかどうかについて市町村長の認定を受けなければなりません。
もし規制に従わない場合は、工事停止や是正命令を受けるうえに、これらの命令にも従わない場合には罰則が与えられます。
景観地区の調べ方
令和5年3月31日現在、日本国内で景観地区は56地区、準景観地区は9地区指定されています。
ご自身が売買を検討されている土地が、景観地区に該当するか調べたい場合は、国土交通省のホームページを確認しましょう。
より詳細な範囲を確認したい場合は、その土地がある自治体のホームページを確認するか、市町村役場・役所に問い合わせることをおすすめします。
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景観地区内の土地にかかる制限
景観地区内にある土地にかかる制限は、大きく2つにわけられます。
1つが景観地区内であれば必ず定めなければならない必須事項、もう1つが各自治体が必要に応じて定める選択事項です。
それぞれの項目についてご紹介します。
必須事項
必須事項は、景観地区に指定されている土地であれば、必ず定める必要がある制限を指します。
必須事項に該当するのは、建築物の形態意匠の制限です。
ここでの「意匠」とは、物の形状や模様、色彩などの結合であり、視覚によって美感を起こさせるものと定義されています。
そのため、単なるデザインだけでは意匠として成立せず、すでにある街並みと一体になることで初めて意匠が成り立ちます。
景観地区内の街並みは、その地区ごとに異なるうえに、周囲の街並みや自然との調和は数値化できず、一律の制限を設定するのは困難です。
そのため、建築物の形態意匠は、各地区で制限の具体的な内容が個別に定められています。
例として、岩手県平泉町の準景観地区における事例を見てみましょう。
この地区では、歴史的な景観を守るため、建築物は和風にすることや木造建築を基本とすること、屋根の勾配は10分の3から10分の5にすることなどを指定しています。
このように、その地域のすでに形成されている街並みや自然、目指すべき街並みの姿に応じた制限がなされているのが特徴です。
選択事項
選択事項とは、景観地区で選択的に定めることのできる制限です。
必ず定めなければならない必須事項とは異なり、各自治体が必要に応じて選択できます。
景観地区内における選択事項では、以下の3点に対して制限が可能です。
●建築物
●工作物
●開発行為やそのほかに関する事項
建築物に対しては、高さの最高限度や最低限度、壁面の位置や敷地面積の最低限度を都市計画で定められます。
そのほかの2点については、自治体の条例で定めることが可能です。
工作物については、建物と同様に形態意匠の制限や高さの最高限度・最低限度が定められるほか、壁面後退区域での工作物の設置も制限できます。
くわえて、土地の形質変更や木竹の伐採など、建築物のような物体だけでなく開発行為や政令で定める行為も規制可能です。
では、実際にはどのような制限が、選択事項として定められているのでしょうか。
前述の岩手県平泉町の準景観地区では、選択事項の項目の1つとして、建築物の高さの制限を10mとしています。
また、工作物の形態意匠の制限として、擁壁に対する制限を規定しているのが特徴です。
準景観地区内の土地で擁壁を造る場合、自然石積や緑化などにより文化的景観と調和する修景を基本とすることと定めています。
このように、選択事項ではその地区に合わせた制限を設定し、必須事項だけでは不足すると想定される部分を補っています。
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景観地区と美観地区は何が違う?
土地の売買を検討されている方のなかには、美観地区という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
美観地区と景観地区は、地区内の建築物に制限がかかる点などが似ていますが、両者には異なる点も存在します。
美観地区の概要と、景観地区との違いについてご紹介します。
美観地区とは
美観地区とは、自治体が設定できる地域地区の1つで、地区の美観を守るために建築制限などを設定できる地区です。
建築美を保っている地区において、その美観を維持するために建築物に関する規制ができます。
具体的には、建築物の色彩や屋外広告などの規制が可能です。
平成17年の景観法施行に伴い、景観地区に代えられたため廃止となりました。
現在は廃止されている美観地区ですが、最近でも耳にしたことがある方がいらっしゃるかもしれません。
実は、美観地区は制度としてはすでに廃止されているものの、自治体によっては呼び方を変更せずそのまま名前を残しているケースがあります。
美観地区という名前が残る例として、条例などで景観地区を美観地区と呼ぶケースが挙げられます。
したがって、すでに景観地区に移行した地域であっても、美観地区という名前がそのまま使われていることも少なくありません。
景観地区と美観地区の違い
前述のとおり、美観地区は景観法の施行に伴い、景観地区に代えられたため廃止された制度です。
地区内の建築物を制限できる点が同じで、条例で景観地区を美観地区と呼ぶケースが存在することもあるため、ほとんど同じ制度だとお考えの方も多いのではないでしょうか。
一見似ている景観地区と美観地区ですが、実は目的が異なります。
美観地区は、すでに形成されている美しい景観の街並みを維持することを目的としています。
一方、景観地区の目的は、これからの美しい景観を形成することです。
このように、美観地区がこれまでの街並みの維持に重点を置いているのに対し、景観地区では今後の街並みの形成に重点を置いているのが大きな違いです。
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まとめ
景観地区は、市街地の良好な景観の形成を図るために定められる地区であり、指定された地区内では建築物のデザインや色彩などが規制されます。
規制の内容は、各自治体が設定しているため、全国一律の具体的な基準が存在するわけではありません。
景観地区内の土地を売買する際には、その土地にどのような制限がかかるのかをあらかじめ確認しておきましょう。
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株式会社リードホーム スタッフブログ編集部
都心・城南エリアで土地・一戸建・マンションをお探しの方のために結束したファミリータイプ住宅売買の専門集団です。目黒区・港区・渋谷区・世田谷区・品川区・大田区の居住用物件のみに特化しております。ブログでは不動産売却などの記事をご提供します。