
土地の売買を検討する際には、建築や利用に関するルールを把握しておくことが非常に重要ではないでしょうか。
なかでも「特定用途制限地域」は、都市の景観や住環境を守るために定められた、独自の制度として位置づけられています。
ただし、用途地域など他の制度と混同されやすく、違いを正確に理解するには注意が必要です。
本記事では、特定用途制限地域の概要や具体的な制限内容、他制度との違いについてわかりやすく解説いたします。
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土地の特定用途制限地域とは

土地利用には、地域ごとの用途制限が欠かせません。
なかでも、特定用途制限地域は、用途地域未指定の場所で建築用途を抑制する仕組みです。
以下では、土地の用途地域の概要とや非線引き区域、さらに特定用途制限地域について詳しく解説いたします。
用途地域とは
用途地域とは、都市計画法に基づいて、市街地の機能や住環境の整備を目的に、土地の利用目的を区域ごとに定めた制度です。
住宅地や商業地、工業地などに分類され、それぞれ建てられる建物の種類や規模が決まっています。
たとえば、第一種低層住居専用地域では高層建築や商業施設の建設が制限され、静かな住環境が守られます。
この制度は、全国の都市計画区域のなかで、市街化を促進する地域を対象として整備されてきました。
制度が導入された昭和40年代以降、大都市圏では住宅地と商業地の混在を防ぐために、用途地域の細分化が進みました。
たとえば、商業地域では住宅よりも高い建物が認められる一方、工業地域では騒音や排出ガスへの対策が義務づけられるなど、地域ごとに求められる環境基準も異なります。
しかし、用途地域が指定されていない地域も存在します。
これらの地域では開発が自由である一方、住民の生活環境に悪影響を及ぼすような施設の建設も可能になるため、新たな土地利用ルールの導入が求められることがあるのです。
非線引き区域
非線引き区域とは、市街化区域や市街化調整区域といった明確な都市計画区域区分が設けられていない区域のことです。
地方圏に多く、用途地域が設定されていないケースが一般的で、土地利用に関する法的な制約は市街化区域に比べて少ないものの、一定の開発許可や用途制限は残ります。
もっとも、開発行為には都市計画法第34条に基づく許可が必要であり、建築基準法による用途・規模等の規制も受けるため、建築が全面的に自由というわけではありません。
この自由度の高さは、開発の柔軟性というメリットがある一方で、騒音や交通量の増加を引き起こす施設が住宅地の近くに建設されるおそれがあります。
そのため、非線引き区域では地域の実情に応じた土地利用調整が必要とされるようになっています。
一例として、地方の幹線道路沿いでは大型店舗や倉庫が点在し、地域交通の負荷が増大するケースなどがあげられるでしょう。
住民説明会や、環境影響評価の実施が求められる自治体も増えており、利便性と安全性のバランスが課題です。
こうした課題に対応する施策として、特定用途制限地域が導入され、地域の良好な生活環境や景観を維持することが可能となっています。
特定用途制限地域
特定用途制限地域では、地方自治体が条例に基づいて、一定の建築物について建築を制限したり禁止したりすることができます。
具体的には、風俗営業施設、大型娯楽施設、給油所等が対象です。
なお、対象施設や床面積要件は、自治体ごとの条例で異なります。
このような施設の建設が制限されることで、住民の安心感や地域の住環境が保たれることになるのです。
とくに、学校や住宅地の近隣など、住民の生活に密着するエリアにおいては、特定用途制限地域の指定が効果を発揮します。
自治体によっては独自に対象施設の詳細を定め、よりきめ細かな地域保全策を講じている例も見られます。
特定用途制限地域を指定するには、都市計画審議会での審議を経て、告示・公聴会をおこなう流れが一般的です。
地権者からの意見提出手続きが設けられており、条例案の段階で地域の声を反映できます。
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土地の特定用途制限地域の事例

以下では、特定用途制限地域の「唐津市」と「ニセコ町」の事例について詳しく解説していきます。
特定用途制限地域の事例①「唐津市」
佐賀県唐津市では、平成27年10月1日から特定用途制限地域の指定が始まりました。
対象となっているのは、虹の松原周辺や浜玉町の一部地域などで、美しい自然景観や歴史的背景を持つエリアが多く含まれています。
虹の松原周辺地区では、商業・娯楽施設の床面積を150㎡以下に制限し、景観と地域の調和を維持しています。
特定用途制限地域の事例②「ニセコ町」
北海道ニセコ町では、平成21年7月1日に施行された条例により、特定用途制限地域が導入されました。
ニセコ町は、豊かな自然環境と観光地としての魅力を兼ね備えているため、景観や静けさを乱す施設の建築を抑制する必要があります。
スキーリゾートとして海外からの観光客も多いことから、静穏な夜間環境を維持するための騒音規制基準も併せて設定されているのです。
条例では周囲の山並みとの調和を保つため、屋根勾配や外壁材の色彩トーンに関する細かな指針が示され、設計段階での届け出が義務付けられています。
対象地域では、麻雀店やカラオケボックスなどの娯楽施設、危険物を取り扱う給油所や自動車整備工場などが制限の対象です。
また、風俗営業に該当する施設も原則として認められておらず、観光地としてのイメージを守るための取り組みとされています。
ニセコ町景観条例と併用し、建築物の外観や色彩、広告物の設置にも独自のルールを設けているのです。
けばけばしい色彩の使用や過度な看板表示は禁止されており、建築面積や配置にまで規制が及ぶ場合もあります。
これにより、町全体としての統一感ある美しい景観が維持されています。
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土地の特定用途制限地域と特別用途地区の違い

以下では、特定用途制限地域と特別用途地区の違いや、用途地域と特別用途地区の違いについて詳しく解説していきます。
特定用途制限地域と特別用途地区の違いは?
特定用途制限地域は、非線引き都市計画区域や準都市計画区域など用途地域未指定の場所に指定され、住宅地の周辺に騒音や危険性を伴う施設が建設されるのを防ぎ、良好な住環境を確保します。
一方、特別用途地区は、既に用途地域が定められている区域内で、その制限を補完・強化する目的で設定されます。
用途地域と特別用途地区の違い
用途地域とは、都市計画区域内で土地利用を住宅・商業・工業などに区分し、建築できる建物の用途や規模を制限する制度です。
特定用途制限地域は、こうした用途地域が設定されていない区域、すなわち非線引き都市計画区域や準都市計画区域に導入されるものです。
用途地域がない地域に一定の制限を加えることで、地域の調和や安全性を保つ狙いがあります。
一方、特別用途地区は、すでに用途地域が定められている区域内に設定され、用途制限をより細かく調整する点が特徴です。
また、景観地区として指定された特別用途地区では、建物の高さや外壁材に加え、看板の照度まで細かく規制されることがあります。
これらの追加制限は、既存の用途地域だけではカバーしきれない地域固有の課題に対応する役割を担っています。
両制度の位置付けを理解すれば、取引前のリスク判断が容易になるでしょう。
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まとめ
特定用途制限地域は、周辺環境の保全や住環境の調和を目的に建築用途を制限する重要な制度です。
地域の事例を知ることで、その制度が生活や街づくりにどのような影響を与えるかを具体的に理解できます。
特別用途地区との違いも把握し、制度の内容を正確に理解したうえで安心できる土地取引をおこないましょう。
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