不動産売却は売主と買主の合意次第でさまざまな契約を結べますが、なかには「割賦販売(かっぷはんばい)」と呼ばれるものもあります。
割賦販売にはさまざまなメリットとデメリットがあるため、それぞれを押さえておくとスムーズです。
今回は、不動産売却における割賦販売とは何か、割賦販売のメリットやデメリットについてご紹介します。
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不動産売却における割賦販売とは何か
不動産売却において通常の住宅ローンを組んでの支払いが難しいときは、割賦販売の選択肢があります。
割賦販売で売却すれば、そのままでは売却が難しい不動産でも売却できる可能性があるでしょう。
割賦販売とは分割払いでの売却
不動産の割賦販売とは、該当の不動産を分割払いによって売却する方法です。
割賦販売法では不動産を支払い期間2か月以上かつ3回以上の分割払いに設定することと定義されています。
クレジットカードでの支払いも割賦販売に含まれており、住宅ローンは使用しません。
通常の売却では、売買契約の際に手付金を受け取り、残代金を不動産の引き渡し時に一括で受け取ります。
買主の方が住宅ローンを組んでいれば、金融機関から一括で代金が支払われ、買主の方が金融機関に毎月返済していくのです。
再建築不可物件を売却しやすくなる
割賦販売を選択すれば、通常は売却が難しい不動産でも売却しやすくなります。
たとえば、再建築不可物件はそのままで住宅ローンを借りられず、買主に敬遠されるため売却が難しいです。
再建築不可物件とは、法律上の制限などから今ある建物を取り壊すと新しく建築できなくなる不動産を指します。
このような不動産は資産価値が低く、担保としての価値がほとんどないため金融機関からの住宅ローンを断られてしまうのです。
住宅ローンを借りられないと基本は一括で代金を支払うことになるため、自己資金が十分でない買主の方にとっては買いにくくなります。
住宅ローン審査に通らなくても不動産を購入できる
割賦販売は、買主個人の事情で住宅ローン審査に受からないときでも不動産を購入できます。
年収や現在の勤務先での勤務年数などにより、住宅ローンを組むのが難しい方もいるでしょう。
とくに、転職から3年以内の方は住宅ローンを組むのが難しく、そのままでは住宅を購入できません。
ローンや家賃、クレジットカードの支払いなどを滞納して信用情報に傷がついている方も新しく住宅ローンを組むのは難しいです。
割賦販売であれば、そういった方にも不動産を売却できます。
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不動産売却における割賦販売のメリット
割賦販売には、通常なら難しい不動産売買を可能にするメリットがあります。
海外では比較的ポピュラーな販売方法であり、国内でも普及しつつあるのが特徴です。
買主の方の費用負担が減る
割賦販売のメリットは、買主の方の費用負担が減るため手を出しやすくなることです。
通常の不動産売却で住宅ローンを組めないときは、基本的に自己資金から一括払いする必要があります。
しかし、仮に資産価値が低い不動産だったとしても基本的には100万円を超える売却価格になるでしょう。
そのため多くの方にとって、自己資金からの一括払いは費用負担が大きいです。
割賦販売によって1回あたりの支払い額を軽減することにより、買主の負担を減らせます。
その結果、住宅ローンは組めないがその不動産を購入したいと考えている方に不動産を売却できるようになるのです。
再建築不可物件を手放しやすい
再建築不可物件を売却できるようになるのは、売主の方にとっても大きなメリットです。
よほど築年数が古くて劣化が進んでいない限り、再建築不可物件でもリフォームや修繕工事などで手直しすれば良い状態で使用できます。
そのため、リフォームを前提にあえて売却価格が安く済む再建築不可物件を購入したいと考えている方もいるのです。
しかし、一括払いでは手を出しにくいため結局諦める方はいらっしゃいます。
割賦販売にしておけば、そのような需要を持つ方に該当の不動産を購入してもらえる可能性が高まります。
親族間売買にも活用できる
不動産の割賦販売は、親族間での不動産売買でも利用できます。
親族間でも不動産を無償で譲ると贈与となり贈与税が課されるため、売買の形にする方は珍しくありません。
しかし、このような親族間における不動産売買では住宅ローンを借りられないケースがほとんどです。
割賦販売であれば、このような親族間売買でも分割払いによる支払いが可能になります。
さらに、親族間の割賦販売であれば他人同士での割賦販売よりも長期の分割が可能です。
そのため、親族の方は1回あたり比較的少ない金額を支払いながら、ゆっくり代金の支払いをおこなえるようになります。
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不動産売却における割賦販売のデメリット
割賦販売には不動産を売却しやすくするメリットがありますが、その一方でデメリットも存在します。
売却に関する手続きのタイミングや、状況次第で税金を課される可能性があるなど、さまざまな点に注意が必要です。
所有権移転登記のタイミングで揉める
割賦販売のデメリットは、所有権移転登記のタイミングで揉める可能性があることです。
所有権移転登記をおこなうと、不動産の所有権が売主から買主に移り変わります。
売主としては、支払いが終わらないままに不動産だけ持ち逃げされるのを防ぎたいため完済まで所有権を買主に渡したくありません。
一方で、買主は購入代金をすべて支払ったときに所有権を譲ってもらえるか不安に思っているため、なるべく早めに登記をおこないたいと考えています。
したがって、売主と買主双方の希望の落としどころを見つけるのが難しいのです。
代金を半分まで支払った段階など、お互いに話し合いながら適切なタイミングを見極めなければなりません。
所有権移転登記のタイミングの難しさから割賦販売に消極的な不動産会社も多く、仲介の依頼を断られることもあります。
贈与とみなされることもある
割賦販売では、契約条件によって贈与とみなされ贈与税が課される可能性があります。
住宅ローンなど、金融機関からの融資を受けるときは返済に対して金利が発生するのが一般的です。
一方で、親族間の割賦販売では金利を請求せず不動産の売却代金だけを請求する形になることもあります。
しかし、金利を請求せずに割賦販売をおこなうと、税務署から金利分を贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があるためおすすめできません。
注意したいのが、どのような条件での売却が贈与と判断されるのかはケースバイケースであり、明確な基準がない点です。
したがって、親族間での不動産売買でも割賦販売を選ぶなら金利を請求したほうが良いでしょう。
デメリットへの対策
デメリットのひとつである所有権移転登記のタイミングについて、対策として有効なのは強制執行認諾文言付公正証書の作成です。
これを作成しておけば、先に所有権移転登記を済ませていても返済が滞ったら裁判をせずに一括返済で強制的に債権を回収できるようになります。
同時に買主の不動産に抵当権を設定しておけば、該当の不動産を差し押さえて債権の回収に利用できるのです。
また、贈与税の課税を防ぎたいのであれば、無利息ではなく金利を請求して割賦販売をおこなうのが良いでしょう。
住宅ローンの利率を参考にしながら金利の金額を決めておけば、税務署にみなし贈与と判断される可能性は低くなります。
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まとめ
割賦販売とは、不動産を一括払いではなく分割払いで売却する方法のことです。
割賦販売を選択すれば、通常では売却しにくい不動産や住宅ローンを組めない相手が対象でも売買契約をおこなえます。
一方で、金利の設定によってはみなし贈与と判断されるほか、権利関係で揉めることもあるため注意しましょう。
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株式会社リードホーム スタッフブログ編集部
都心・城南エリアで土地・一戸建て・マンションをお探しの方のために結束したファミリータイプ住宅売買の専門集団です。目黒区・港区・渋谷区・世田谷区・品川区・大田区の居住用物件のみに特化しております。ブログでは不動産売却などの記事をご提供します。