土地活用の手段として注目されている「介護施設経営」に興味があっても、具体的な活用方法まで把握している方は少ないのではないでしょうか。
今後も需要の高まりが期待できる介護施設の経営ですが、一定の条件を満たした場合に開始できる土地活用の方法です。
そこで今回は、使用していない土地を所有している方に向けて、介護施設経営による土地活用について解説します。
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土地活用における介護施設経営とは、老人ホームや障がい者施設、デイサービスなどの福祉施設を経営することを指します。
ここでは、土地活用における介護施設経営の仕組みや、各福祉施設の特徴について解説します。
土地活用としての介護施設経営の仕組み
介護施設を経営するといっても方法は複数あり、それぞれ収益化の仕組みがあります。
1.土地を貸し出す
所有者が土地を貸し出し、介護施設を経営する事業者から土地代を受け取る方法です。
介護施設を経営したいと申し出があった事業者に土地を貸し出すだけで、その後の建築や施設経営に関わる必要はありません。
所有者にかかる費用負担が少なく、リスクを抑えた土地活用方法といえます。
2.土地と建物を貸し出す
土地活用における介護施設経営では、所有者が事業者から建設費を得て施設を建築し、土地とセットで貸し出すパターンもあります。
介護施設を建築する際に事業者から建設協力金として資金の援助を受けることから、建設協力金方式やリースバック方式とも呼ばれます。
土地とともに一棟貸しするため、土地だけを貸し出す方法よりも多くの収入を見込めますが、毎月の賃料から建設協力金が引かれる点に注意が必要です。
たとえば、事業者から建築協力金6,000万円(月50万円×120か月の返済契約)を受け、月額120万円の賃料で契約した場合、120万円から返済分の50万円が差し引かれた70万円が所有者の収入になります。
3.自ら介護施設を建築して貸し出す
介護施設を所有者が建設し、完成した建物を事業者に貸し出して利益を得る方法です。
土地と建物を貸し出して賃料を受け取る仕組みは2つ目の方法と同様ですが、所有者自らの資金で介護施設を建築する点が大きく異なります。
数億円にもなる建築費を、所有者がすべて負担することになるため、ローン返済などのリスクが発生しますが、ほかの土地活用の手段よりも高収入を期待できるでしょう。
介護施設の種類
土地活用として介護施設経営を検討している方は、各介護施設が持つ特徴の違いを把握しておくことも重要です。
介護施設にはさまざまな種類がありますが、代表的な施設と特徴は以下のとおりです。
●老人ホーム:自宅での生活が困難な高齢者が入居する施設で、さらに介護の必要度合いによって「介護つき」「住宅型」「健康型」などの分類に分かれる
●サービス付き高齢者向け住宅:生活相談や安否確認などのサポートを受けられる住居
●グループホーム:スタッフのサポートを受けながら共同生活を送る施設
●デイサービス:日帰りで介護サービスをおこなう施設
所有する土地の立地や面積、ニーズなども考慮しながら、どの介護施設が良いかイメージを膨らませましょう。
土地活用として介護施設経営をおこなうメリット・デメリットとは
土地活用における介護施設経営には、アパート経営や事業用の土地活用と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、介護施設経営の主なメリットだけではなくデメリットもご紹介します。
メリットとデメリットをそれぞれ比較したうえで、介護施設経営を検討しましょう。
メリット1.需要が高い
現在、日本において65歳以上の人口は令和3年9月時点で全人口の29.1%を占めており、今後もさらに増加傾向が続くと予想されています。
そのため、高齢者の方の増加にあわせて介護施設の需要は高まり続け、将来的にも安定した介護施設経営を目指せるでしょう。
メリット2.収益が安定しやすい
アパート経営やマンション経営と比べて、利用者が高齢者の方であるため、退去の可能性が低く、長期的に利用してもらえます。
また、事業用の店舗やオフィスビルの経営では、コロナ禍で見られたように賃料が景気に左右されやすいですが、介護施設経営では賃料が景気に左右されることはほとんどありません。
メリット3.社会貢献度が高い
介護施設経営は、その目的から社会貢献度が高い土地活用の方法です。
先ほどもご紹介したように高齢者の方の増加とあわせて介護施設の需要が高くなる反面、地域によっては介護施設の数が少ない場合があります。
そのような地域の介護施設経営は需要を満たす意味でも社会貢献度が高く、オーナーとしての社会的信用にもつながるでしょう。
デメリット1.法改正による収益の減少
ここまで、土地活用として介護施設経営をおこなうメリットについて解説してきましたが、デメリットについても見てみましょう。
介護に関する法律や制度の改正が、収益の減少につながることがあります。
たとえば、介護保険法の改正によって事業者が国から受け取れる介護報酬が減算された場合、賃料の引き下げを余儀なくされるケースがあるでしょう。
賃料交渉をしぶると事業者に退去される可能性もあるため、賃料の下落リスクはあらかじめ念頭にいれておくことが重要です。
デメリット2.事業者撤退のリスク
土地活用として介護施設を一棟貸ししている場合は、退去時の影響が大きくなります。
事業者が思うように経営できず、事業を続けることが困難になってしまうと施設から撤退してしまうこともあるでしょう。
退去後すぐに次の事業者が見つかれば問題ありませんが、経営破綻直前の施設再建を申し出る事業者はなかなか見つかりません。
仮に見つかったとしても、賃料が大幅に下がってしまう可能性が高いです。
デメリット3.土地活用の転用が困難
介護施設は居住空間にくわえ、広めの浴室、リクリエーションスペース、リハビリスペースなど、入居者の使いやすさを考えて設計された特殊な建物です。
そのため、事業者が退去したタイミングで新たな活用方法に転用を考えたとしても、大がかりなリフォームが発生するなど、土地活用の転用が困難である点がデメリットとして挙げられます。
介護施設の経営は簡単に転用ができないため、長期的に取り組む覚悟を持って開始すべきでしょう。
土地活用として介護施設経営を開始できる土地の条件
土地活用として介護施設経営を始めるには、いくつかの条件を満たす必要があります。
所有する土地は介護施設経営に適しているかどうか、事前に確認しておきましょう。
条件①200坪以上の土地
介護施設を始めるためには、広大な土地が必要です。
最低でも200坪以上、一般的な広さの介護施設を始める場合は500坪前後の広さが求められます。
実際の介護施設向け土地募集条件にも「350坪以上」「500坪以上」などと記載されているケースが多く、介護施設として活用できる土地に制限があることが現状です。
条件②総量規制
介護施設のなかでも特別養護老人ホームやグループホーム、小規模デイサービスなどの施設は自治体ごとに建設数が制限されており、この制限を「総量規制」といいます。
これは、介護施設の経営悪化による撤退を防ぐ、自治体への負担を軽減させることが目的です。
そのため、対象の介護施設がすでに上限数に達していた場合、新たな施設の建築ができません。
土地活用として介護施設経営を始めるときは、前もって自治体に確認しておきましょう。
条件③用途地域
用途地域とは、都市計画法によって定められた「建築可能な建物の用途を制限したエリア」です。
住環境の保護と商工業の利便性向上のために、13種類の区分ごとに建築できる建物が制限されています。
介護施設も例外ではなく、「工業専用地域」に指定されているエリアではどんな種類の介護施設であっても建築は認められません。
そのほかの地域では基本的に建築が認められますが、最終的には特定行政庁の判断となるため、所有地のある自治体へ確認しましょう。
まとめ
高齢化が深刻化している日本において介護施設の需要は増え続けているため、安定した経営が期待できます。
一方で法改正による収益の減少や、土地活用の転用が困難などのデメリットも存在するため、慎重な検討が必要な土地活用の方法ともいえます。
介護施設を土地活用として検討する際は、メリット・デメリットをしっかり比較したうえで判断しましょう。
株式会社リードホーム スタッフブログ編集部
都心・城南エリアで土地・一戸建・マンションをお探しの方のために結束したファミリータイプ住宅売買の専門集団です。目黒区・港区・渋谷区・世田谷区・品川区・大田区の居住用物件のみに特化しております。ブログでは不動産売却などの記事をご提供します。