公有財産とは、地方自治体が所有する財産であり、昭和22年4月17年に定められた「地方自治法238条」に規定されるものです。
財産は、不動産などの建物・土地だけではなく、権利や株式、といったものまで含まれています。
私たちが何気なく利用しているものや、目に見えているものは自治体の公有財産かもしれませんね。
この記事では、東京都の公有財産・共有財産を中心に、自治体の財産について紹介します。
公有財産の価値・価格を知れば、自治体で何にどのようなお金が利用されているか、その一部が見えてくるでしょう。
ここでは、公有財産についてご紹介します。
公有財産の種類・区分を把握することにより、都内の公有財産がどこにあるのか、そしてどのようなものがあるかが理解できるでしょう。
<公有財産の種類>
公有財産とは、以下のものを指します。
・土地、建物などの不動産
・工作物
・船舶、浮標、浮桟橋および浮ドックならびに航空機
・地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利
・特許権、著作権、商標権、実用新案権その他これらに準ずる権利
・株式、社債
・出資による権利
・不動産の信託の受益権
これら公有財産の種類は、他自治体でも同様となっています。
<東京都の公有財産>
東京都が所有している公有財産は、一般財産と一部適用事業用財産に分かれており、それぞれの数量と価格が掲載されています。
■一般財産:学校・公園・庁舎など
■一部適用事業用財産:病院・中央卸売市場など
■一部適用事業用財産:交通事業、水道事業、下水道事業
上記3種類に区分されており、都内にはさまざまな場所に公有財産が存在しているのです。
記事内ではすべて紹介しきれないほどの種類がありますが、今回は、一般財産、一部適用事業用財産の一例を紹介します。
■一般財産
・都営住宅の敷地
・公衆トイレ
・水位観測所
・児童相談所(建物本体)
■一部適用事業用財産
・該当病院の診療棟・更衣室・駐車場などの建物本体
・環状第2号線地区再開発事業用地
・ふ頭フェンス
・東京港埠頭株式会社(投資)
このように、建物全体からフェンスのような設備までが、公有財産として登録されています。
<東京都の公有財産の詳細を知るには?>
東京都の公有財産の情報は、東京都財務局のwebサイトに掲載されています。
令和2年6月現在では、平成31年度3月末の公有財産の情報が掲載されていました。
一般財産、一部適用事業用財産ともに、各区分による公有財産の情報(財産の所在地・財産の種類・名称)があるので、気になる方はチェックしてみて下さい。
■東京都財務局 東京都の公有財産:https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/kouyu/zaisan/index.html
平成18年に「今後の国有財産の制度及び管理処分のあり方について―効率性重視に向けた改革―」の答申がとりまとめられ、それにより、国有財産法などの改正が行われました。
介護施設や保育所の整備を促進するために、国有地の活用が求められるなど、地域や時勢、社会問題にあった財産の活用が推進されています。
ここでは、国や自治体が所有する共有財産がどうあるべきかについて解説します。
<共有財産における今後の方向性>
無駄を省いて、利用されるべく財産を整備しながら、社会問題である少子高齢化などに対応していくことが、共有財産における方向性といえるでしょう。
共有財産は、地域・社会のニーズに対して、きめ細やかに対応していくことが重要です。
保有して管理するものはより効率的に管理し、処分すべきものはできるだけ処分をしながら、無駄なく活用しなければなりません。
将来的に重要な財産として、水害や地震などの自然災害に対応した強靱なインフラ確保などにおいて、適切な利用が推進されています。
<共有財産の有効活用>
共有財産は、介護・保育など人々の安心につながる分野を対象に有効活用が推進されています。
有用性が高く希少な土地は「留保財産」と呼ばれ、将来世代における行政需要に備えつつ、地域のニーズに対応するために国が所有権を留保し、売却せず貸付けをするといった利用がされています。
庁舎・宿舎の有効活用には、閉館している時間にも庁舎内駐車場の使用を許可することや、宿舎を津波避難ビルとして利用する例があるようです。
<引き取り手のない不動産が発生することを抑制するための対応>
所有者不明の土地など、引き取り手のない不動産問題が顕在化しているなかで、不動産を国に寄附するといった対応例・制度があります。
少子高齢化や利便性の高いエリアへの引越し、施設入所など、さまざまな理由で土地の相続放棄が増えている事態を踏まえて、これらを解消するために制度が設けられました。
しかし、行政目的で使用する予定のない土地においては寄附に対応しておらず、すべての土地が寄附できるわけではありません。
個人の不動産を国に寄附するのも、共有財産の有効活用のひとつといえます。
東京都の特別区においては、23区それぞれで公有財産の規則が定められています。
ここでは、特別区における管理規則の一例と、東京都の公有財産の活用法などについて見ていきましょう。
<23区それぞれに「公有財産管理規則」がある>
東京23区においては、各区で公有財産管理規則が定められており、Googleなどで「○○区 公有財産管理規則(または公有財産規則)」と検索すると確認できます。
公有財産管理規則とは、その区の公有財産の取得・管理・処分に関することが書かれているものです。
たとえば新宿区における「新宿区公有財産規則」では、2020年6月現在では第49条まで策定されており、
・公有財産の管理、取得
・公有財産台帳の管理
・行政財産の使用許可、基準、手続きなど
・普通財産の貸付け手続き、期間、料金など
・普通財産の処分、売払い
これらのことがすべて書かれています。
新宿区を一例として紹介しましたが、他の区の管理規則では内容や表記方法が少し異なっています。
<東京都の財産運用における審議会が開催>
東京都の公有財産が「適正な価格であるか」「適正に利用されているか」などを把握するために、東京都財産価格審議会・東京都土地収用事業認定審議会・東京都地価動向調査委員会が設けられています。
まず、東京都財産価格審議会では、東京都の公有財産の管理および処分、並びに財産の取得及び借入れに関して、適正な価格及び料金を評定。
次に、東京都土地収用事業認定審議会は、土地収用法第20条に基づき、東京都が事業の認定を行うに当たって、第三者機関の意見を聴くことにより公正性や透明性等の向上を目指しています。
そして、東京都地価動向調査委員会では、国土利用計画法施行令第9条に基づき、東京都が行う基準地の地価調査事業などの適切な実施に資すること、および東京都の地価動向の適切な把握を担っています。
これらの組織と第三者の意見を交えながら、都民・区民に安心できる公有財産のあり方を審議しているのです。
<利用予定のない都有地の活用方法>
東京都財務局では、利用予定のない都有地の売払いや貸付けを行い、法人・個人の一般競争入札が可能です。
どちらも1年に3~4回ほど東京都庁内において入札が実施されています。
過去に実施された入札情報(土地の所在・面積・価格・申込者数・落札金額など)は、東京都財務局webサイトの公有財産情報で調べることができます。
webサイト上には、今後実施予定である一般入札による都有地の売払い・貸付けの情報が掲載されるので、気になる方はチェックしてみるとよいかもしれません。
公有財産や都政は少し難しいイメージがあるかもしれませんが、どのようなものが公有財産なのかを知る事で、関連付けて理解することが出来ます。
公有財産とは、その自治体が所有する財産のことを指し、東京都の公有財産、区の所有財産などで区別されています。
今回は、東京都と23区を中心に解説しましたが、土地・建物だけではなく、設備や道路、病院の敷地の一部なども公有財産であることがわかりました。
現在でも、売払い・貸付けなどを行い、無駄なく効率よく財産が活用されていますが、今後も無駄な費用が使わることなく有効的に利用されてほしいですね。