最上階や1階にオーナー宅が住んでいる、といった物件を見たことがある方もいるのではないでしょうか?
これを賃貸併用住宅といい、さまざまな手段がある不動産投資方法のひとつで、家賃収入を得る目的や老後の資金確保のためにはじめる人が増えています。
そこで今回は、賃貸併用住宅の概要とおすすめの間取り、メリット・デメリットについてご紹介します!
ここでは、賃貸併用住宅の定義とその実態について解説します。
賃貸併用住宅の建設や投資を考えている方は、暮らしやすさとその実態についてしっかりと把握しておきましょう。
<賃貸併用住宅の定義>
賃貸併用住宅とは、ひとつの建物に、自宅と賃貸部分がある住宅を指します。
賃貸部分は人が住む居住スペースだけではなく、店舗・オフィスなどといったテナントが入ることもあります。
不動産投資でありながらも、投資している物件が自宅であり、安定した不動産収入を得たい方に、昨今注目されている投資方法です。
自宅部分以外は、投資物件であることから空き家対策や管理などをしっかりしなければならず、近くに住む居住者への配慮なども必要になります。
さまざまなメリット・デメリットを感じられる賃貸併用住宅は、リスクと利益両方を鑑みながら、不動産投資のひとつとして検討していくとよいでしょう。
<暮らしやすさの実態とは?>
賃貸併用住宅では、1階部分を賃貸住宅にし、2階部分を自宅にするといった「横割り」と、1階2階の一部屋ずつを自宅にしてそれ以外の1階・2階の部屋を賃貸住宅にする「縦割り」の2種類にわかれます。
同じ物件にオーナーと入居者が住んでいる場合、双方の生活においてストレスを感じないように、注意を払うことが必要です。
オーナーとしては自宅ですが、毎月家賃を支払う入居者がそばにいることは、自宅を自由に使用しにくく、自宅の一部に他人が住んでいることにストレスを感じてしまう方もいるかもしれません。
入居者側としても、オーナーがすぐ近くに人が住んでいることにより、気を使いながら生活をする…といったことになります。
生活スタイルの違いによる、騒音などのトラブルが発生する可能性があることを忘れずに暮らしていくのを認識する必要があるでしょう。
<自宅に住みながら利益が出る?>
自宅ではありますが、住んでいるのは不動産投資の物件なので利益を発生させなければ意味がないですよね。
賃貸併用住宅は、アパートやマンションを経営するのに比べると、見劣りしてしまいますが、大きな利益よりも、安定した利益が得られる面ではメリットといえるでしょう。
そのためには、空き家リスクやトラブルを軽減し、入居者がより快適に過ごせる環境づくりへの努力はかかせません。
自宅に住みながら不動産投資がでるうえに、「住宅ローンの負担が減る」、「税金対策になる」といったメリットがありますが、あくまで経営であるため、プロに運用の相談をしながら進めていきましょう。
間取りは入居者が重要視するポイントであり、立地と間取りで的確なターゲットを絞って、空室が出ないように対策をしていきましょう。
つづいて、賃貸併用住宅におけるおすすめの間取りをご紹介します。
<賃貸部分は店舗・オフィス・居住用かを決める>
アパートやマンションといった、居住用以外の用途を含む物件も、賃貸併用住宅と呼ばれています。
1階部分を居住用として利用する場合、そのフロアすべてを店舗やオフィスとして貸し出すケースもあります。
まずは、賃貸部分にどのような用途の入居者になるかを決めると、立地条件なども決めやすいでしょう。
店舗にするのであれば、閑静な住宅街よりも人通りが多い場所のほうが、より好まれるはずです。
<縦割り・横割りかを決める>
賃貸併用住宅の間取りにおける大きな部分として、縦割り・横割りのどちらにするかを決めましょう。
縦割り・横割りそれぞれにメリットとデメリットがありますが、ご自身のライフスタイルなどで決めるのが一般的です。
縦割りのメリットには、
・入居が避けられる傾向にある、1階部分とその上の階も賃貸部分にできるため、入居者確保のリスク分散ができる
・オーナーと入居者、または入居者同士での騒音トラブルが発生しにくい
このようなものがあります。
デメリットとしては、室内に階段を設ける必要があるため、そのぶんのスペースが無駄になることなどがあるでしょう。
横割りのメリットには、
・自宅を最上階にした場合、眺めや日当たりが良好で快適、生活音や騒音が気になりにくい
・自宅を1階にした場合、階段がなく高齢になっても過ごしやすい
このようなものがあります。
デメリットとしては、1階部分の入居者の確保に苦労したり、1階に住む時は入居者の騒音が気になったりするといったことがあるでしょう。
<居住用であればどのような人をターゲットにするかで間取りを決める>
賃貸併用住宅では一般的に、単身者向け物件の需要が大きいと言われています。
単身者向けの物件であれば1K・1DK程度の入居率が高くなる傾向にあるでしょう。
ご自身の生活スタイルと合わない単身者を避けるのであれば、2DKくらいの間取りでDINKsにターゲットを絞るのもいいかもしれませんね。
3LDKなど、広すぎる部屋ではそのぶん家賃が高くなり、敬遠されて入居率が下がってしまう可能性もあるので、2DKのような適度な間取りがおすすめです。
賃貸併用住宅の不動産投資をすれば、老後の資金としての収入も見込めるため、退職金を使用して賃貸併用住宅を建設する方も増えているようです。
そのためには、物件管理や暮らしの快適さなどを配慮する必要があり、住みながら経営することは意外と大変かもしれません。
最後に賃貸併用住宅のメリットとデメリットを解説します。
<賃貸併用住宅のメリット1:金利の低い住宅ローンが適用&負担軽減>
賃貸併用住宅では、金融機関の条件を満たせば、建物全体で金利が低い住宅ローンを利用して建てることができます。
条件としては、自宅部分の床面積が50%以上であることが一般的であり、建物全体をすべて住宅ローンで建てるならこの条件を満たさなければいけません。
住宅ローンといえば、マイホームを建てるために借りるローンではありますが、国では住宅の取得に対してさまざまな優遇策を設けており、これにより低金利なローンを組めるのです。
さらに、家賃収入があり、その一部を自宅部分の住宅ローンの返済に充てられるため、ローンの負担も軽くなります。
住宅ローン返済後は、家賃が収入となるため、老後の資金を確保する手段として考えることが出来ます。
<賃貸併用住宅のメリット2:節税効果がある>
賃貸併用住宅は、節税効果もあり大きなメリットといえるでしょう。
まず、賃貸併用住宅は普通の戸建て住宅よりも評価額が小さくなるため、相続税が抑えられます。
次に、固定資産税においては、住宅一戸200平方メートル以内であれば「小規模住宅用地」の扱いとなり、固定資産税が1/6、都市計画税においては1/3となり大幅に節税できるでしょう。
そして、家賃で収入を得ていることから事業者扱いとなるため、賃貸経営にかかる費用は経費となります。
固定資産税や減価償却においても経費となり、これらが家賃収入を上回った場合は赤字とみなされるため、確定申告の際に所得税から控除することができます。
<賃貸併用住宅のデメリット1:快適な生活を送れない可能性がある>
節税できて収入も得られるといった、金銭面でのメリットがある一方で、生活の中ではデメリットを感じるかもしれません。
入居者がファミリー層で、小さい子どもがいる場合、またオーナー自身に子どもがいる場合、足音などの騒音や生活音が原因でトラブルとなることが懸念されます。
同じように、生活リズムが大きく異なると、それだけでお互いに生活音が気になることもあるでしょう。
こういったデメリットを回避するためには、防音・遮音性の向上、水回りの位置、縦割り・横割りなど、設計の段階で配慮をするのが重要です。
<賃貸併用住宅のデメリット2:物件の管理に苦労することもある>
アパートやマンションを複数経営していれば、管理会社に管理を依頼するのが一般的ですが、「戸数が少ない」「物件がそばにある」といった場合には、自主管理をするオーナーも少なくありません。
オーナーであれば、入居者の問い合わせ対応や、共有部分の掃除、室内の修繕の手配などは、自身で行います。
さらに、空室対策や空室リスク軽減もオーナー自身が行わなければいけないため、会社勤めの方をはじめ、他の仕事をしている方にとっては負担となるでしょう。
きちんとオーナー自身で管理できない時は、管理会社に依頼することをおすすめします。
家賃収入があって、節税効果や住宅ローンの軽減などがあるといったメリットをみれば、賃貸併用住宅はとてもよい投資方法だと思う方もいるかもしれません。
そのぶん、物件管理や快適性の確保など、大変なことはありますが、今後の不動産投資としては大きな可能性を秘めています。