2019年10月1日に、消費税率が8%から10%へと引き上げられたことをきっかけに、住宅購入を控えた、または再考したという方もいらっしゃるようです。
そこで政府は、消費税増税後の住宅購入等を支援するため、一定性能を有する住宅の新築やリフォームに対してポイントを発行する「次世代住宅ポイント制度」を導入しました。
このポイントを取得すると、家電製品やインテリア、雑貨、食料品、飲料、ベビー・キッズ用品、スポーツ・健康増進用品などと自由に交換することができます。
現在は、新型コロナウイルス感染症の影響により問い合わせ窓口の規模縮小をおこなっており、ポイント発行申請は2020年3月31日で終了しています。
ただ、2020年4月7日から8月31日までに契約を行った場合は、ポイントの申請が可能となっているなどの、延長措置もとられていますので、これから次世代住宅ポイント制度を活用したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
<次世代住宅ポイント制度はなぜ作られたの?>
次世代住宅ポイント制度とは、高額商品である新築一戸建て住宅の購入やリフォームを検討している方を助けるために創設された制度です。
2019年10月に、消費税が8%から10%に引き上げられ、新規分譲住宅や注文住宅販売数、リフォーム件数が減少することが予想されたため、その対策にもなっています。
この制度は、一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能、家事負担の軽減性能をもつ住宅を新築した方、自宅をリフォームして同様の性能をもたせた方を対象にしています。
新築は最大35万円相当、リフォームでは最大30~60万円相当のポイントが獲得できる仕組みとなっています。
付与されたポイントを使い、家電製品やインテリア、防災関連商品などの希望する商品と引き換えることができ、結果的に家計の出費を減らすことができる嬉しい制度です。
<新築住宅でポイントがもらえる条件は?>
新築(注文住宅/分譲住宅の購入)の場合は…
・断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上
・劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上
・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上又は免震建築物
・高齢者等配慮対策等級3以上
このうちどれか一つでも当てはまれば30万ポイントが付与され、さらに「認定長期優良住宅・認定低炭素建築物 / 性能向上計画認定住宅・ZEH(ゼロエネルギーハウス)」のうちのどれかを満たせば5万ポイントが加算されます。
<リフォームでポイントがもらえる条件は?>
リフォームの場合はポイント付与が複雑になります。
まず「40歳未満、もしくは18歳未満の子供がいる世帯、又は申請時点で18歳未満の子供がいる世帯」は若者・子育て世帯と分類され、ポイント付与が優遇されます。
さらにリフォームをほどこす既存物件にも分類があります。
耐震性があり建物状況調査等が実施済みの住宅、さらにリフォーム等について情報提供が行われている既存住宅を安心R住宅とよび、一般的な既存住宅とわけてポイントを付与します。
若者・子育て世帯が安心R住宅をリフォームすると、リフォーム内容により上限60万ポイントが付与、一般住宅でも上限45万ポイントが得られます。
一般世帯が安心R住宅をリフォームすると、リフォーム内容により上限45万ポイント、既存住宅をリフォームすると上限30万ポイントが付与されます。
どれだけのポイントがもらえるかは、具体的にどのようなリフォームを実施したかで決まるため、個別計算してもらいましょう。
<リフォームの対象商品など>
新築住宅は、条件が合致すれば一括してポイントがもらえるシステムですが、リフォームの場合はリフォームする設備により個別加算されていきます。
例えば住宅設備会社のHPを見ると…
・キッチンリフォーム…最大43,000エコポイント
・浴室リフォーム…最大85,000エコポイント
・トイレのリフォーム…最大33,000エコポイント
・洗面所リフォーム…最大4,000エコポイント
・窓リフォーム…最大20,000エコポイント
・バリアフリーリフォーム…最大39,000エコポイント
・ドアリフォーム…28,000エコポイント
たくさんリフォームするほど施工費はかかりますが、同時にエコポイントも多くもらえるようになっています。
窓やトイレなどのリフォームだけではなく、エコ住宅設備設置(高効率給湯機)や太陽熱利用システム設置、ホームエレベーター設置、衝撃緩和畳設置などでもエコポイントが付与されるので、施工会社とよく確認しておきましょう。
<ポイントの交換方法は?>
ポイントがたまったら「次世代住宅ポイント商品紹介ポータルサイト」で、ポイントを希望する商品と交換することができます。
欲しい商品のブランドや持っているポイント、好きなジャンルの商品などですぐに検索できるため、商品探しがとても楽。
欲しい商品が見つかったら、「この商品を申し込む」をクリックすると国土交通省の申込みページにジャンプします。
商品の引き換えは、国土交通省の申込みページで手続きすることになります。
<申し込み期限について>
次世代ポイント住宅制度の申込は、2020年3月31日で締め切られていますが、以下の条件に当てはまる方は、令和2年4月7日から8月31日までに契約を行った場合、ポイント申請が可能となります。
・(資材不足などで)事業者から一方的に受注、契約を断られた
・事業者との契約を解除した
・新築物件やリフォームの引渡し時期の見込みが立たず、契約をあきらめた
・次世代ポイント制度の利用ができないと思い、契約をあきらめた
これに伴い、ポイント申請期限も令和2年6月1日~11月30日の期間へ延長されています。
一度は契約をあきらめた方も、期間内に契約すれば次世代住宅ポイントが付与されるのでお見逃しなく。
<次世代住宅ポイントを使うと課税される?>
個人が次世代住宅ポイントを使って商品と引き換えると、個人の経済的利益とみなされて課税対象(一時所得)になります。
「え!せっかくお得だと思ったのに税金とられちゃうの?」とビックリされるかもしれませんね。
でもご安心ください、課税されるのは50万以上の次世代住宅ポイントを付与された方だけです。
一時所得金額計算では50万円の特別控除適用があるため、もらったポイントが50万以下の方は確定申告の必要は一切ありません。
<50万ポイント以上のポイントが付与されたら確定申告を>
もし50万以上の次世代住宅ポイントが付与されると、確定申告の対象になってしまいます。
計算式は(もらったポイント)ー(必要経費)-50万円(特別控除)×2分の1 です。
もし60万ポイントが付与され、必要経費が200円(切手代や封筒代など)と仮定すると、49,900円の一時所得が発生するためこの金額を税務署に申告します。
ただ所得税の申告は1度だけで、毎年申告する必要はありません。
<住宅ローン控除を受ける場合>
住宅ローン控除を初めて受けるときは、直接税務署の窓口で申請が必要です。
このとき前述したケースの場合、「補助金等の交付を受けていますか?」の欄にもらったポイントを申請します。
所得税のときとは違い「付与された金額を申請する」ため注意が必要です。
わからないときは、確定申告作成コーナーで担当者に直接内容を聞きながら、一緒に確定申告書を作成するのが一番。
間違った申告書を作成してしまうと、後で修正申告の可能性もありますので、しっかり説明を受けるのが安心ですね。
新規住宅取得やリフォームを希望される方を助ける制度「次世代住宅ポイント」は、消費税アップにともない、事業予算枠1,032億円(新築)、または286億円(リフォーム)という金額でスタートしました。
令和2年3月31日でいったん申請は終了しましたが、新型コロナウイルスの影響で工事契約を解除した方のうち、令和2年4月7日から8月31日までの間に工事契約が完了した方はポイント付与の対象になります。
コロナ禍で大変なこの時期、少しでも家計の助けになる制度があれば使うのがベストですよね。
次世代住宅ポイント制度の利用を検討されている方は、できるだけ早い契約をおすすめいたします。