マイホームは高額商品のため、一般的には、一括で商品代金を支払うことはできません。
住宅ローンの平均借入金額は注文住宅で3,004万円、分譲戸建住宅が2,827万円、分譲マンションは2,396万円とされており、多くの方がローンを組んで購入しています。
決して安いとは言えないマイホームですが、生活の基盤確保、家族やペットとゆっくりくつろげるスペースを持つ安心感、財産としての価値など、メリットはたくさんあります。
ただ、高額ゆえに無理な住宅ローンを組んでしまうと支払いが困難になるケースもあり、ローン返済計画には慎重さが求められます。
このページではマイホームのローンにおける返済比率や、ローンと世帯年収との最適な割合、ローンの借り換えで注意すべき点などについてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
<住宅ローン審査で重要な返済比率>
住宅ローン審査で重視されるのが「返済比率」です。
これは「年収に占める、住宅ローンの返済額の割合」を意味し、「年間返済額÷年収×100」の計算式で求めることができます。
例えば年収500万円の方が住宅ローンの申し込みをおこなう場合、申込先の銀行で「返済比率30%以内」が条件で、かつ年間150万円の返済が可能であると仮定すると、
150万円÷500×100=30(%)
となり、融資条件のひとつである返済比率をクリアできることになります。
この返済比率に関しては30%が条件の銀行もあれば40%の銀行もありますが、大まかな平均は約35%となっております。
<ほかにローンを抱えている方は注意!>
住宅ローンを組む場合、マイカーローンや教育ローンなど別途ローンを組んで支払いをしている方は要注意です。
一見、住宅ローンとは関係なさそうな教育ローンやカードローンですが、これらローンの支払額も加算したうえで返済比率を計算することになります。
年収500万円の方が返済比率30%、マイカーローンを毎月5万円支払っていると仮定すると、住宅ローンの借入額は年間84万円まで制限されてしまう計算になります。
住宅購入を真剣にご検討中の方は、マイカーローンや教育ローンなど各種ローンは慎重にお考えになることをおすすめします。
<理想的な返済比率とは?>
年収が高い世帯ほど返済比率が上がっても問題ないと言われていますが、このご時世いつ何か起きるかわかりません。
不動産を取得すると、固定資産税の支払いや将来のために必要な修繕費、分譲マンションであれば管理費など、住宅を維持するための費用も求められることに。
住宅ローンと住宅を維持(補修)するお金だけでなく、生活費や教育費、その他の支払いなど頭に入れておかなければなりません。
家計事情を考慮せずに住宅ローンでお金を借りてしまうと、破綻してしまう可能性も高くなってしまいます。
そのため理想的な返済比率は20~25%程度と言われています。
<フラット35や民間金融機関の返済比率について>
フラット35では400万円未満の方の返済比率を30%に、400万円以上の方の返済比率を35%と決め、融資をおこなっています。
金融機関の場合は、各銀行によって返済比率に違いはありますが、例としては以下のようになります。
年収300万円以上400万円未満→35%
年収400万円以上700万円未満→40%
年収700万円以上→45%
中には、年収300万円以下の方には融資しないという銀行もありますので注意が必要です。
ここで注目していただきたいのは、年収が上がれば上がるだけ返済比率も上がっていくということです。
年収が700万円以上の方は年間280万円以上の住宅ローンが組めることになります。
※これらの返済比率は、あくまでもフラット35や金融機関が独自に定めた返済比率です。
<世帯の実情をよく考えてみる>
たとえ年収1,000万円の世帯であっても、お子さんの人数によっては「教育費や生活費にお金がかかる」といったケースもあります。
また、お親御さんと同居している世帯でしたら、「介護費用がかかる」など、支出が多く経済的にあまりゆとりがないということも十分考えられますよね。
逆に年収300万円であっても、単身世帯なら教育費や生活費にあまりお金がかかりませんし、出費が少ない方であれば返済比率を安全圏の20~25%ではなく、35%まで引き上げても問題ないかもしれません。
「銀行にどれだけお金を借りることができるのか」と「実際にどれだけ返済していけるのか」には大きな違いがあります。
普段は大根1本の値段まで細かくチェックする主婦も、いざ一生に一度の大きな買い物となると、尺度がわからず、大きな額を借り入れてしまう可能性もあります。
気が大きくならないよう注意が必要ですね。
<税込年収ではなく手取り年収で計算してみる>
銀行やフラット35での返済比率は税込年収で計算されています。
ところが、年収からは会社員であれば厚生年金の掛け金や健康保険組合への掛け金、所得税などが差し引かれてしまい、手取りは少なくなってしまいます。
年収が600万円あったとしても手取額は約470万円前後、もし無理のない住宅ローンを組むのであれば手取年収の20%、つまり年間返済額約100万円の住宅ローンが安全圏といえます。
<金利だけではなく諸経費も含めて検討する>
住宅ローンを利用している方の中には「より金利の低い住宅ローンに乗り換えて、支払額を抑えたい」という希望をもたれている方もいらっしゃるかと思います。
低金利の住宅ローンに借り換えることで金利分を安く抑えることができれば確かにお得ですが、借り換えとなると新たな住宅ローンを組むことになるため、諸経費が発生してしまう点には注意しましょう。
・融資事務手数料
・保証料
・団体信用生命保険料(団信)
といった経費がいくらかかるのかを事前にチェックし、それでもメリットがあるのであれば借り換えを検討するのも一つの手です。
<借り換えにも審査がある>
住宅ローンの借り換えは新たな住宅ローンに加入することと同じですので、借り換え時には審査があります。
審査時にローン返済者の健康状態が悪化していると、団信に加入できず借り換えができないことがありますし、住宅ローン以外にマイカーローンや教育ローンなど新たなローンが発生していると、返済比率の関係から審査に落ちてしまうこともあります。
また融資の際に世帯主が転職したばかりで、勤続年数が足りない、年収が下がった、借入時の年齢が高いなどの要素があると断られる可能性が高くなるのでご注意ください。
<金利の変更にも要注意>
固定金利で住宅ローンを返済していた方が、借り換えで変動金利に変更した場合は、今後の金利変動に十分注意する必要があります。
変動金利は年に2回見直しされますが、今後の動向によっては金利が上がる可能性も否定できません。
「これからもずっと低金利のままだろう」と予測しても、半年先、一年先に経済状況がどのように変化しているかはわかりませんので、変動金利にはリスクがあることを知り、それを納得したうえで借り換えを検討することが大切ですよ。
今回は、住宅ローンで重要な「返済比率」についてご説明しました。
年収によって返済比率は変化し、年収が高くなればなるほど比率も高くなります。
ただ金融機関やフラット35で決められた返済比率は、あくまでも銀行やフラット35で決めた比率であり、「各家庭の実態を反映したもの」ではありません。
「借りられる金額」が「返せる金額」とは限りませんので、しっかりとした返済計画を立て、無理のないローンの計画を組んでみてくださいね。