店舗併用住宅とは、1階にコンビニエンスストアや飲食店などがあり、2階を自宅として利用しているような物件のことです。
店舗併用住宅は売りにくいと言われていますが、売却は不可能なのでしょうか。
そこで今回は、店舗併用住宅の売却を検討している方に向けて、売却の可否や売りにくいと言われている理由についてご紹介します。
店舗併用住宅の売却時に所得税が控除される特例についてもご説明しますので、ぜひ参考にしてください。
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弊社へのお問い合わせはこちらそもそも店舗併用住宅の売却は可能なのか
店舗併用住宅を所有している方のなかには、最初から更地にして売却する方も少なくありません。
しかし、店舗併用住宅であっても売却は可能です。
総務省が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」では全国に23万8千戸の店舗併用住宅があり、そのうち2.9%である7千戸しか売却に売り出されていないことが分かっています。
売却に出されている店舗併用住宅が少ない、ということは「ライバルが少ない」と捉えることができるため、売れる可能性は十分あるのです。
一般的な店舗併用住宅の売却方法「居抜き物件」
通常の住宅とは異なり一部が店舗となっているため、居抜き物件として売却することが一般的です。
居抜き物件とは、もともとあった店舗の設備や家具、食器などの什器をそのまま残した状態のことです。
「どうしてわざわざそんな売却方法でおこなうのか」と、不思議に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
じつは、居抜き物件は売り手側と買い手側の双方にメリットのあるものなのです。
居抜き物件として売却すると店舗部分の内装を撤去する費用や手間がかからず、買い手側からしてもはじめから設備が揃っていることで初期費用を抑えることができます。
店舗併用住宅をリフォーム・解体して売却するリスク
「店舗併用住宅より土地だけのほうが売れやすそう」「リフォームして綺麗にしたほうが高値で売れる」と考える方は少なくありません。
しかし、これから店舗開業をする方は内装にこだわりを持つ方が多く、内装を綺麗にリフォーム・リノベーションしたところで早期売却につながるとは限りません。
工事に発生した費用を回収できるとも限らず、得策とは言い切れないでしょう。
同様に、店舗併用住宅を解体して更地にして土地で売る方法もリスクが生じます。
土地だけにすることによって客層が幅広くなるメリットがありますが、多額の解体費用がかかるデメリットも大きい売却手段です。
店舗併用住宅は売却時に解体・リフォームする義務はなく、現状のままの状態で売却できる物件です。
まずは、売却活動してからその後の様子を見て対策をしていく方法が適切と言えるでしょう。
なぜ店舗併用住宅は売却しにくいと言われるの?その理由を調査!
店舗併用住宅が売却しにくいと言われる理由は「買い手からのニーズ」が大きく関係しています。
ここでは、店舗併用住宅が売却しにくい理由として考えられるものをご紹介します。
理由①居住部分しか住宅ローンを組めない
「住宅ローン」は、文字どおり住むための物件に対する融資です。
そのため、店舗併用住宅は住宅ローンを一部しか借りられない、ということが起きてしまいます。
店舗部分にもローンを組みたい場合は「居住部分は住宅ローン」「事業用部分は事業用ローン」というように、別々で借りる必要があります。
ただし、住宅比率が5割以下だと住宅ローンを利用できない金融機関も珍しくなく、事業用ローンは融資期間も短く返済金額が高くなりがちです。
結果的にローン審査に通りにくい店舗併用住宅は、なかなか売却されない傾向にあります。
しかし、近年は日本銀行の金融緩和の影響によって融資を受けやすくなっており、これから開業するという事業者であっても、審査にとおりやすいと言われています。
これまで店舗併用住宅はローンを組みにくいという理由で売却しづらい印象がありましたが、ローン面での不安を解消することによって早期売却に繋がるケースは増加しています。
理由②そもそも店舗併用住宅への需要が少ない
2つ目の理由として挙げられるのは、全体の住宅需要のなかで店舗併用住宅を探している買い手が少ないことです。
もちろんこれから店舗を開業したい方や、貸店舗として家賃収入を得たいと考えて店舗併用住宅を探している方はいらっしゃいます。
しかし、単身用やファミリー用など全体的な需要と比較すると、わざわざ店舗併用住宅を探す方はごく一部で、なかなか買い手が見つからないケースも少なくありません。
一方で店舗併用住宅が売りに出ている数もとても少ないため、需要と供給のタイミングさえあれば早期売却が叶うケースもあります。
理由③近年の社会的背景によるニーズの変化
店舗併用住宅が売却しにくいと言われる理由のひとつが「ニーズの変化」です。
●日本人口の減少・少子高齢化
●インターネットの普及拡大によるネット通販・ネット店舗の拡大
●大型商業施設・チェーン店の増加
これらの社会的背景によって、近年小売店舗は減少傾向にあります。
商店街の空き店舗がこの18年で倍増しているという結果も出ており、既存の小売店舗は厳しい状態です。
一方で、民泊需要は急増しており店舗併用住宅を転用するケースも多くあります。
「どうせ店舗併用住宅は売却できないから」と諦めるのではなく、まずは売りに出してみて買い手の要望とのすり合わせをおこなうことが大切です。
店舗併用住宅は売却時に所得税が控除される?適用範囲を確認!
最後に、店舗併用住宅を売却したときの税金に関して知っておくべき知識をご紹介します。
店舗併用住宅に限らず、土地や物件などの不動産を売却して利益を得ると譲渡所得税の課税対象になります。
しかし、居住用住宅を売却した場合は、一定の条件を満たしていると譲渡所得から最大3,000万円までの特別控除の特例を受けることが可能です。
これは店舗併用住宅も例外ではありません。
居住部分がある店舗併用住宅は「居住用財産」として扱われるため、3,000万円の特別控除の適用対象となります。
3,000万円の特別控除の適用範囲
店舗併用住宅も特別控除の特例を受けることが可能ですが、物件全体に対して適用されるわけではありません。
店舗併用住宅のなかでも居住部分のみ控除の対象となります。
たとえば、1階でコンビニエンスストアを経営していて2階を自宅としているなら、2階部分のみ「3,000万円の特別控除」が適用されるということです。
ただし、店舗併用住宅の居住部分が9割以上であるケースは例外で、物件全体に対して控除が適用されます。
店舗併用住宅の居住部分の算出方法
ここでは、居住部分を「a」店舗部分を「b」併用部分を「c」として表します。
店舗併用住宅の居住部分の算出は、【a+c×a /(a+b)】という計算式によって求められます。
敷地ごと売却に出す場合は【a+c×b】によって敷地における居住部分の面積を算出します。
とはいっても、店舗併用住宅を売却する際の譲渡所得税の計算は難しいため、計算方法を理解したうえで、税理士などの専門家に相談するとミスなく金額を算出できるでしょう。
店舗併用住宅に特別控除を適用する方法
3,000万円の特別控除は、売却時に自然と適用されるものではありません。
譲渡所得の内訳書や住民票の写しなど必要書類を用意したうえで、確定申告時に特別控除を受ける旨を記載する必要があります。
確定申告は売却をおこなった翌年の2月16日から3月15日の間です。
申請しないと控除を受けることができないため、遅れないようにしましょう。
まとめ
店舗併用住宅は売却がしにくいと言われていますが、店舗経営を検討している方や家賃収入を得る投資家に需要がある物件です。
売却時に特別控除を受けることも可能のため、事前に調べたうえで売りに出しましょう。
株式会社リードホーム スタッフブログ編集部
都心・城南エリアで土地・一戸建・マンションをお探しの方のために結束したファミリータイプ住宅売買の専門集団です。目黒区・港区・渋谷区・世田谷区・品川区・大田区の居住用物件のみに特化しております。ブログでは不動産売却などの記事をご提供します。