農地を所有している方のなかには、農地以外の活用方法がわからず、そのまま放置されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
使われずに放置された農地は、管理の手間や税金の負担が増える可能性があるため注意が必要です。
今回は、農地の土地活用で知ってきたい制度や、農地の税金について解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら農地の土地活用で知っておきたい「制度」とは?
農地の土地活用を考えるときは、農地に定められた制度について知っておくことが必要です。
ここでは、農地の特徴や宅地とは違う農地の制度について解説します。
農地とは?
農地とは、「耕作を目的に供される土地」と農地法で定められています。
耕作とは、土地を耕し肥料を与え、作物を栽培することです。
農地と判断されるための条件は、現在耕作している農地と、現在は耕作をしていなくても、耕作しようと思えばいつでも耕作できる土地とされています。
地目が田や畑となっている土地以外にも、土地を耕し作物を栽培している土地も農地とみなされる場合があります。
遊休農地とは?
遊休農地とは、現在は耕作されておらず、今後も耕作する見込みがないまま放置された農地のことをいいます。
毎年、農業委員会が各地域の農地の活用を調査し、そのような土地を遊休農地と定めています。
遊休農地と認定されると、農地よりも税金の負担が多くなる可能性があり注意が必要です。
農地転用制度
地目が田や畑などの農地となっている土地は、農業にしか使うことができません。
ただし、農業委員会から農地転用の許可を得れば、農業以外の使用が可能になります。
農地転用とは、農業委員会の審査に通ることで、地目を農地以外に変更することができる制度です。
遊休農地であっても地目が農地であれば、土地活用時に農地転用の許可を得なければなりません。
農地を一時的に資材置き場や駐車場などとして利用する場合も、農地転用の許可が必要です。
また、市街化区域の農地であれば、農業委員会に届け出を提出するだけで農地転用が可能です。
許可を得ないまま農業以外の活用をすれば、農地法違反となり工事の停止や是正を命じられます。
命令に従わなければ3年以下の懲役または300万円以下の罰金や罰則が科せられます。
使っていない農地の「土地活用方法」をご紹介!
遊休農地となった農地は、固定資産税や維持費ばかりがかかり、マイナスの資産となってしまいます。
また、農地に雑草や害虫が発生すれば、近隣住民に迷惑がかかることになり注意が必要です。
そうなる前に、農地の土地活用方法を知って、利益が得られる土地へと変える方法を検討しましょう。
①農地のまま土地活用する
農地を農地以外で利用するためには、農地転用により許可が必要となるため、できれば農地のままで土地活用したいと考える方も多いと思います。
農地のまま土地活用する方法をご紹介します。
市民農園を開設する
市民農園とは、自家製の野菜を栽培したい方や花作りを楽しみたい方に、農地を貸し出す方法です。
市民農園を開設する方法は、次のような方法があります。
●特定農地貸付法に基づく開設
●市民農園整備促進法に基づく開設
●農園利用方式による開設
特定農地貸付法と市民農園整備促進法に基づく市民農園の開設には、市区町村との貸付協定が必要です。
農園利用方式による市民農園は、農地法による手続きは必要ありません。
農地集積バンクに貸し出す
農地集積バンクとは、農地中間管理機構の略称で、農林水産省が設立した法人です。
農地の貸し出しや売却を希望する方から農地を集め、広い農地として大規模農家に貸し出しや売却をおこないます。
市町村が窓口となり借り手や買主を探してくれるので、農地の所有者が探す手間がありません。
近隣農家に貸し出す
隣地や近隣で農業をされている方に、農地を貸し出す方法があります。
農業委員会などから許可を得れば貸し出しは可能なので、市民農園の申請よりも手続きが簡単に済むメリットがあります。
②農地転用してから土地活用する
農地転用すれば、収益が得られる土地活用方法の幅が広がります。
たとえば、市街地に近い農地であれば、賃貸アパートや賃貸マンションの経営することで、家賃収入を得ることができます。
ただし、農地がある地域は需要が低く、賃貸経営に適していない場合もあります。
近隣に大学や働ける施設があれば、学生や働く方からの需要が望めるかもしれません。
賃貸経営をする場合は、そのエリアに賃貸物件の需要があるのかを事前に調べることが必要です。
また、住宅街が近い地域や違法駐車が多い場所ならば、駐車場として貸し出す方法もあります。
駐車場経営は初期費用も少なく、手軽に始められるメリットがあるでしょう。
立地に関係なく土地活用ができる方法としては、太陽光発電や高齢者向け施設、資材置き場もおすすめです。
高齢者向け施設の建設は、自分で建てる方法と、介護事業者に土地を貸して建てる方法などがあります。
農地は静かなエリアにあることが多いので、高齢者の方の住まいにも適した環境かもしれません。
その地域にはどのような需要があるのかを調べ、土地活用の方法を検討することが大切です。
③売却する
農地を売却する際は、農業委員会などの許可が必要です。
また、農地を購入する側も農業委員会から許可を得た農家などに限られるなどの制度が設けられています。
そのため、農地のままで売却する場合は、近隣などで農業をおこなっている方に購入してもらうなどの方法が考えられます。
生産緑地の指定を受けた農地は、2022年から市町村に農地の買取を申し出ることができます。
また、農地転用をして宅地などに地目が変更されていれば、農家の方以外にも売却が可能です。
ただし、売却するために農地転用することは認められていないので、注意が必要です。
農地の土地活用で知っておきたい「税金」とは?
農地に課税される税金は、宅地に課税される税金よりも安くなる優遇措置があります。
農地や遊休農地に課税される税金を解説します。
①固定資産税
固定資産税とは、土地を所有しているすべての方が毎年支払わなければならない税金です。
農地であれば、宅地と比べて固定資産税が2分の1程度(55%)になる優遇措置があります。
ただし、固定資産税額を安くするためには、現在農地として利用していることが条件です。
遊休農地として放置された農地は、固定資産税の優遇措置が受けられず、宅地と同程度の課税となることに注意しましょう。
②相続税
農地を相続した際の相続税についても、通常の不動産相続より評価額が低くなることが一般的です。
農地の評価方法は、農地の区分方法により次のように異なります。
●純農地:倍率方式
●中間農地:倍率方式
●市街地周辺農地:市街地農地とした場合の価額×0.8
●市街化区域内の農地:倍率方式または宅地比準方式
倍率方式とは、「評価額=固定資産税評価額×評価倍率」で計算される方式です。
自分の農地がどの区分かを知るには、国税庁の「財産評価基準書」のサイトで相続開始の年をクリックするとわかります。
また、相続人が耕作を続けている限りは、相続税の支払いが猶予される特例制度もあることを知っておきましょう。
まとめ
今回は、農地を所有している方が知っておきたい遊休農地や農地転用の制度や、農地の土地活用方法、課税される税金について解説しました。
農地は耕作せずに放置していると、遊休農地とみなされ固定資産税など税金の負担が大きくなる可能性があります。
使っていない農地は、農地転用制度など定められた制限にも注意して、土地活用の方法を検討しましょう。
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