埋蔵文化財包蔵地の不動産売却は不可能ではないものの、それ以外の土地にある不動産の売却と比較すると難しいと言われています。
建設の際にもさまざまな制限があるため、売却後のトラブルをふせぐためにも、不動産売却前に埋蔵文化財包蔵地ならではのデメリットについて理解しておきましょう。
この記事では、埋蔵文化財包蔵地とは何かという概要や、埋蔵文化財包蔵地の不動産売却のデメリット、売却方法をご紹介します。
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弊社へのお問い合わせはこちら不動産売却時に注意が必要な埋蔵文化財包蔵地とは
埋蔵文化財包蔵地とは、地中に文化財が埋まっている可能性がある土地です。
文化財保護法で対象とされる文化財とは、以下のようなものを指します。
●遺跡
●遺構
遺跡の具体例として土器や石器、遺構の具体例として古代人が住んでいた住居の跡などが挙げられます。
また、文化庁の通達では以下の遺跡も対象となっているなど、対象となる年代は幅広いです。
●中世(1600年ごろ)までの遺跡のすべて
●近世(1600年ごろ~江戸末期)までの遺跡のうち、地域において必要なもの
●近現代(明治以降)の遺跡のうち、地域においてとくに重要なもの
とはいえ、これらの遺跡・遺構のすべてが埋蔵文化財包蔵地の対象となるわけではありません。
実際に埋蔵文化財包蔵地にあたるかどうかは、文化財保護法と文化庁の通達をもとに都道府県の教育委員会が判断します。
埋蔵文化財包蔵地に指定されている土地かどうかを調べる際には、市区町村に設置されている教育委員会が作成している遺跡地図や遺跡台帳を使いましょう。
遺跡地図は市区町村のホームページで閲覧できることも多く、調べるのにそれほど手間はかかりません。
しかしながら、遺跡地図や遺跡台帳に掲載されていない土地でも、埋蔵文化財包蔵地とみなされるケースがあるため気を付けましょう。
具体的には、遺跡や遺構があるという伝承がある地域や、周辺住民に遺跡の存在が知られている場合などが該当します。
すでに埋蔵文化財の存在が知られている埋蔵文化財包蔵地だけでも全国におよそ46万か所あり、年間でおよそ9,000件の発掘調査がおこなわれています。
埋蔵文化財包蔵地の調査の対象になるかなど、最終的な判断をおこなうのは都道府県の教育委員会です。
トラブルを防ぐためにも、不安な場合には都道府県の教育委員会に問い合わせることをおすすめします。
埋蔵文化財包蔵地の不動産売却のデメリット
埋蔵文化財包蔵地は、土木工事をする前に教育委員会との協議や発掘調査が必要になるなど、文化財の保護のためにさまざまな制限がかかります。
したがって、埋蔵文化財包蔵地に建っている不動産は需要が少なく、不動産売却が難しくなるケースが多いです。
埋蔵文化財包蔵地の不動産を売却する際のデメリットをご紹介します。
売却価格が下がりやすい
埋蔵文化財包蔵地に該当する不動産は、土木工事の前に届出が必要であるうえに、場合によっては発掘調査を指示されることがあります。
埋蔵文化財包蔵地の不動産には数多くのリスクが存在することから、それ以外の土地の不動産と比較すると売却価格が下がりやすいのがデメリットです。
届出の手間がかかるのはもちろん、もし発掘調査を指示されたらその分だけ工事が遅れてしまいます。
調査の結果によっては希望する建物の建築ができないこともあるうえに、調査で文化財が発見されると詳しい調査が必要になるため、さらに工期が延びてしまうかもしれません。
さらに、これらの制限は家の建て替えだけでなく、浄化槽の設置や配管工事など土地を掘り返す必要のある工事のすべてに適用されます。
すでに家が建っている土地で配管工事をしている間に埋蔵文化財が発見された場合にも、工事を止めて調査しなければなりません。
埋蔵文化財包蔵地にはこれらのリスクが存在するため需要が低く、売却価格を下げざるを得ないのがデメリットです。
買主が見つかりにくい
数多くのリスクが存在する埋蔵文化財包蔵地の不動産は、なかなか買主が見つからないのがデメリットです。
工事の前の調査で工期が延びるおそれがあるうえに、調査の結果によっては希望どおりに開発ができない可能性もあるため、買おうと考える方が少なくなってしまいます。
さらに、買主が賃貸物件や自宅兼事務所を建てようとしている場合、埋蔵文化財包蔵地の不動産は買主にとってより大きなデメリットになってしまいます。
埋蔵文化財包蔵地の発掘調査にかかる費用は、自己住居用の住宅を建築する場合に限られます。
そのため、買主が埋蔵文化財包蔵地の土地に賃貸物件や自宅兼事務所を建てる場合、高額な調査費用を負担しなければならないのがデメリットです。
事業利用の土地を探している買主がコストの面から埋蔵文化財包蔵地の不動産を避ける傾向にあることも、買主の見つかりにくさに拍車をかけています。
埋蔵文化財包蔵地での不動産売却の方法
埋蔵文化財包蔵地に建っている不動産は需要が少なく、売却が難しいのが実情です。
しかしながら、買主に埋蔵文化財包蔵地に相当することを伝えずに売却してしまうとトラブルに発展するおそれがあるので、スムーズに売却を進めるためにあえて隠すのは避けましょう。
埋蔵文化財包蔵地に建っている不動産であっても、売却方法を工夫すれば売却は可能です。
買主に埋蔵文化財包蔵地であることを理解してもらったうえで、トラブルなく不動産売却をおこなう方法をご紹介します。
事前調査を済ませたうえで不動産売却をする
不動産売却をする前にできる限りの事前調査を済ませておけば、買主が安心して不動産を購入できます。
買主が見つかる前に市区町村の教育委員会に問い合わせ、売却を検討している不動産が埋蔵文化財包蔵地に該当するかどうかを確認しましょう。
発掘調査をおこなって埋蔵物を取り除けば、通常の土地と同じ方法で売却が可能です。
大規模な発掘調査が難しい場合でも、確認調査をして建築の制限や発掘調査にかかる費用を確認しておけば買主のリスクを軽減できるため、売却が成功する可能性が上がります。
遺跡地図や遺跡台帳に登録されていなくても埋蔵文化財包蔵地に相当するケースがあるので、近くに遺跡があるなど少しでも可能性がある場合には教育委員会に確認しておきましょう。
重要事項説明をわかりやすくおこなう
重要事項説明とは、不動産取引の前に不動産会社が買主に契約上重要な事項を説明することを指します。
この重要事項説明で埋蔵文化財包蔵地に存在するリスクをわかりやすく伝えることで、買主に納得して購入してもらえます。
不動産会社が作成する重要事項説明書には文化財保護法にチェックを入れる項目がありますが、これだけでは説明として不十分です。
具体的にどんな手続きが発生する可能性があるのか、工事にどんな制限が出るのかを詳しく説明することで、不動産売却後にトラブルが起こる可能性をできる限り下げる必要があります。
とくに、個人の買主に不動産を売却する場合には、今後家を建て替えることになった際に教育委員会とどんな協議が必要になるかも伝えておくとより親切です。
わかりやすい説明は、買主の不安を軽減させるだけでなく、売主のリスクを軽減させることにもつながります。
弊社ではわかりやすく丁寧な重要事項説明をおこなっておりますので、埋蔵文化財包蔵地の不動産売却をご検討中の方はぜひ弊社にお問い合わせください。
まとめ
文化財保護のために、さまざまな制限がある埋蔵文化財包蔵地における不動産売却は難しいのが現状です。
しかし、売却方法を工夫すれば、埋蔵文化財包蔵地でも不動産売却することは可能です。
可能な限り事前調査をおこない、買主に詳しく説明してトラブルを防ぐことで、埋蔵文化財包蔵地の不動産売却を成功に導きましょう。
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