不動産取引では、高額の金銭のやり取りになるため、さまざまなトラブルが生じます。
このようなトラブルを避けるため、売買契約の前には買主に対して「重要事項説明」がおこなわれます。
今回はこの「重要事項説明」について詳しく説明します。
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不動産の購入は多くの人にとって日常の買い物とは大きく異なります。
権利関係や法令上の制限、取引条件が極めて複雑で、専門的な知識や経験を必要とするにもかかわらず、多くの場合、購入者は専門知識のない一般個人です。
法令上の制限やその物件の欠陥などをしっかりと理解せずに契約を締結してしまうと、契約後に思いがけないトラブルが生じやすくなります。
そのようなトラブルを避けるために、国は専門的な知識や経験、調査能力を持つ宅地建物取引業者(不動産会社のこと。以降宅建業者)に重要事項の説明義務を課しています。
重要事項説明は必ず契約の前に
重要事項説明は不動産の購入者に対しておこなわれるもので、必ず契約の前におこなわれなければなりません。
また、必ず書面(重要事項説明書)を発行し、宅地建物取引士が取引士証を掲示して対面で説明しなければなりません。
これは宅地建物取引業法35条で規定されており、「重要事項説明書」は別名「35条書面」とも呼ばれます。
購入者は「確かに重要事項の説明を受けました」という意味で、重要事項説明書に記名押印した上で契約に進みます。
つまり、記名押印後は記載された内容について「聞いていない」「説明されていない」ということは通用しません。
そのため、重要事項説明書に記載された内容はしっかりと理解し、納得した上で契約に進むことが重要です。
重要事項説明の内容
重要事項説明で説明される内容は大きく分けて以下の3つです。
取引不動産に関する事項
登記簿に記載された所有権や抵当権などの権利に関する内容、都市計画法や建築基準法上の制限、指導負担に関する内容、給排水管や電気・ガスの状況、未完成物件の場合は完成図面、マンションの場合は管理規約や長期修繕計画の内容など。
取引条件に関する事項
売買代金、売買代金以外にやり取りされる金銭、契約の解除(手付解除)に関する事項、違約金に関する事項、手付金や預かり金の保全措置の概要、住宅ローンのあっせんに関する事項、隠れた瑕疵の責任に関する事項など。
その他の事項
災害リスク、割賦販売に関する内容、隠れた瑕疵に関する事項など。
社会情勢の変化や新たな法令の制定・改正に伴って説明項目は年々増加する傾向にあります。
重要事項説明が必要とされる場合と必要とされない場合
不動産売買において重要事項説明を必要とされるのは、売主が宅建業者、買主が一般個人である場合と、宅建業者が不動産取引を代理・媒介(仲介)する場合です。
つまり、不動産業者による買取など、買主が宅地建物取引業者、売主が一般個人である場合には、専門知識のない個人の売主に重要事項の説明義務はありません。
不動産を購入する際の重要事項説明における告知義務とは
不動産を売買する際には、宅建業者は買主に対して重要事項の告知義務があります。
宅建業者は、その業務に関して、宅建業者の相手方等に対し、重要な事項について故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない(宅建業法47条1項)
重要事項の告知を怠ると「不告知」または「告知義務違反」として宅地建物取引業法に違反し、責任を問われることになります。
3つの瑕疵
「重要事項」のなかでも特にトラブルに発展しやすいのが「隠れた瑕疵(かし)」と言われる通常の注意では気づくことのできない不具合や欠陥。
ここでは大きく分けて3つの瑕疵について解説します。
物理的瑕疵
シロアリや雨漏りの害など構造に関わる欠陥や地盤沈下など物理的な欠陥のこと。
給排水管の故障なども含まれます。
環境的瑕疵
近隣の騒音や振動、臭気を出す工場や火葬場、ゴミ処理施設などの嫌悪施設。
そのほか、日常生活を送る上で支障がある環境。
心理的瑕疵
過去に起こった死亡事故や殺人事件、自殺など。
いわゆる「事故物件」とは、この心理的瑕疵のある物件を指します。
心理的瑕疵の告知義務のガイドライン
2021年5月、国土交通省は過去に人が亡くなった物件の賃貸・売買時の告知義務についてまとめたガイドラインを公表しました。
死亡事故や殺人事件、自殺といった心理的瑕疵のある事故物件について、これまでは告知すべき事故の範囲やどれくらいの期間告知すべきかという明確な決まりがなく、その判断は各不動産業者に委ねられてきました。
今回のガイドラインでは告知すべき事故や事件の範囲や期間が細かく明示されているため、今後は心理的瑕疵に関するトラブルを未然に防ぐことができます。
ガイドラインで示された内容は以下のとおりです。
他殺・自殺・事故死の場合
賃貸の場合、告知義務は事故の発生から3年間とされました。
集合住宅の場合は占有部分(部屋)だけでなく、バルコニーやエントランスなどの共用部分も対象となります。
ただし、売買の場合は期限が設けられていないため、事故の発生が何年前であっても告知義務はなくなりません。
自然死や病死の場合
病死や老衰などの自然死については、一般的なものとして告知義務の必要はないとされました。
また、事故死であっても、階段からの転落、入浴中の転倒など日常生活で発生した不慮の事故による死亡の場合は、一般的なものとして病死と同じく告知義務事項の対象外とされました。
ただし、死亡の発見が遅れ(孤独死など)、遺体の腐乱が進んでしまい特殊清掃が必要となった場合には告知義務があるとされました。
不動産を購入する際の重要事項説明の注意点
重要事項説明には30分~1時間程度かかります。
続けて契約をする場合は合計で2時間以上に及ぶことも。
不動産や法律の専門用語が並ぶため、一度ではなかなか理解できないかもしれません。
しかし、不動産を持つということは資産とともにリスクも持つということになるため、そのリスクにも十分納得してから売買契約に進むことが大切です。
事前に書類のコピーを受け取り、ひととおり目を通して不明点を整理しておけば、落ち着いて質問できるでしょう。
小さなお子さんのいる方はスタッフに預かってもらう、一時保育を利用するなどして集中できる時間を確保しましょう。
ここでは、物件種別ごとにあらかじめチェックしておきたい注意点をいくつかピックアップします。
戸建て・マンション共通
●登記簿に記載された抵当権は抹消されるかどうか
●あらかじめ示された図面と整合しているかどうか
●給排水管の不具合の有無
●採光や環境に関わる近隣の建築計画の有無
●近隣トラブルの有無
●心理的瑕疵(他殺・自殺・事故死)の有無
●手付解除や住宅ローン特約に関する内容
●契約不適合責任(瑕疵担保責任)の範囲と期間
戸建ての場合
●敷地境界の確認(境界地点が明示されているかどうか)
●接道状況の確認(前面道路の幅員4m以上、接道間口2m以上)
●その土地にかかる地上権・地役権の有無
●水道管やガス管が前面道路に通っているか
●建物の構造部分の不具合の有無
●都市計画法や建築基準法の制限内容
マンションの場合
●管理規約の主な制限(ペット飼育の可否、頭数やサイズの制限など)
●駐車場の利用に関する内容(利用料やサイズ制限など)
●長期修繕計画に関する内容(積立金の値上げ予定の有無など)
●眺望に影響する土地の建築計画の有無
●隣人トラブルの有無
まとめ
いかがでしたか?
不動産の購入は多くの人にとって「一生に一度の買い物」。
しっかりと納得して契約するためには、重要事項説明の内容をきちんと理解することが大切です。
不明な点はクリアにして、晴れやかな気持ちで契約を迎えたいものですね。
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