少子高齢化の進行が叫ばれている一方で、都心部を中心に保育園の申し込み競争は年々激化しています。
そのような流れの中で、渋谷区では保育園の設立などの子育て支援に力を入れており、さまざまな対策によって年間の待機児童数を減らすことができたというデータがあります。
ここでは、渋谷区が進めている少子化対策や待機児童数減少への取り組みについて詳しく見ていきます。
つながりシェア保育園など、新たな保育施設の概要についても具体的にお伝えしていきますので、既に渋谷区にお住まいの方だけでなく、今後渋谷区で子育てをしたいというファミリー世帯の方もぜひ参考にしてください。
結婚後も仕事を続けているお母さんにとって、気になるのは保活です。
子育て世代の保活ニーズを見据えて、渋谷区では全国的にみても積極的に待機児童数減少に向けた対策・子育て支援対策に取り組んでいます。
具体的なデータを見ても、渋谷区の年間待機児童数は2018年は151人でしたが、2019年には92人になっているため、単純に人数だけで考えると1年間で59人減ったことになります。
もちろん、これでもまだまだ子育て支援対策としては充分ではありませんが、待機児童数を何年かかっても減らすことができない地方自治体も少なくないなかで、渋谷区の取り組みは全国的にも注目されています。
保育園に入園するためには、前年度の受付期間内に自治体の窓口へ申請を行う必要があります。
申請の際には必要書類をそろえる必要があり、書類に何らかの不備があれば申請の段階で落とされる可能性があります。
一般的な必要書類は以下の通りです。
1、支給認定申請兼保育所利用申込書
2、家庭現況届
3、確認票
4、エントリーシート
5、保育が必要な状況を証明する書類(原則として、保護者全員分)
6、加算の対象となる書類や保護者の状況を申立てる書類
ただ、これらの書類すべてが必要になるわけではなく、ご家庭の状況によって必要となる書類が変わってきますので、申請前に必ずチェックしておきましょう。
必要書類をそろえて申請を行ったところで、渋谷区のように保育園の需要と供給のバランスが崩れている地域では必ず保育園に入ることができるとまでは言い切れません。
入園の際には選考が行われ、これに合格できなかった子どもは待機児童となってしまいます。
選考は基本的には点数方式で行われ、自治体ごとに定められた一定の項目ごとに申請者の状況を踏まえて加算または減算をしていき、最終的な点数が基準を超えているかによって合否が判断されます。
渋谷区では独自の選考基準が設けられており、たとえば、同一世帯に介護を必要とする同居者がいる場合には4点が加算されます。
保育園はあくまでも、「日中働いている親のための保育施設」であり、大ざっぱに言うと、不在の間に子どもの面倒をみることができる親族や同居人がいる場合には減点されることになります。
また、就業期間や就業時間も考慮要素となり、渋谷区は「フルタイム勤務」を週5日以上、1日8時間以上の就労を月におおむね20日以上行っていることと定義しており、これに該当すれば、親1人につき20点が加算されます。
選考基準については状況の変化に応じて見直される可能性がありますので、渋谷区のウェブサイトなどをこまめにチェックしておきましょう。
渋谷区には国レベルの子育て支援対策に対応すべく、さまざまなパターンの保育施設があります。
そのような取り組みは、渋谷区の待機児童数の減少につながっているのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。
認証保育所は全国的に深刻化する待機児童問題への対策として、東京都が独自の基準を設定して創設した保育施設です。
東京都が基準を独自に設定しているという点で国の認定保育園とは異なっており、また、申請者の選考基準においても違っていますので、認定保育園に入れなかった場合でも認証保育所には入れるという場合もあり得ます。
私立保育室は私立保育園ともよばれ、国や地方自治体だけでなく民間の企業や団体も経営に加わっています。
民間の資本が入っているため認可保育園などよりも選考基準がややフレキシブルで入りやすいという特徴があります。
園内のカリキュラムも独自性が高まっており、リトミックや音楽療法などの先進的な取り組みがなされているのもポイントです。
企業主導型保育施設は、もともとは企業内で働く子持ちの女性がフルタイムで働きやすい環境を整えるために設置した保育施設で、原則としてその企業に勤める女性しか利用することができません。
企業主導型保育施設は、企業に併設されている場合のほか、最寄駅などにも設置されている場合などもあり、利用は基本的に無料となっています。
待機児童向け特別枠、および期間限定型保育事業とは、認証保育園などの空きスペースを別の年齢の乳幼児のために貸し出す事業です。
たとえば、0歳児から5歳児まで預かる保育所で3歳児のスペースに一時的に空きが出た場合、そのスペースを一時的に貸し出すことによって待機児童対策につなげています。
空き状況については、渋谷区のウェブサイトから確認することができます。
このように、渋谷区では国の施策と連動した待機児童対策に取り組んでいますが、現在も待機児童数を十分には減らすことができておらず、多くの対策が一時的なものに終わっているなどの批判も少なからずあります。
渋谷区だけではカバーしきれない待機児童対策に民間の立場から取り組んでいる団体として、「NPO法人フローレンス」があります。
フローレンスは2004年に設立された非営利法人であり、保育園になかなか入ることができないお子さんを持つ働くお母さんのために、安心して利用できる保育サービスを提供しています。
フローレンスが特に力を入れているのが「病児保育」です。
たとえ子どもを保育園に預けていたとしても、子どもが病気になれば預かってもらえなくなり、結局は仕事を休んで家で面倒を見るしかありません。
乳幼児期のうちは病気になることも多く、欠勤日数が多くなると失職につながるケースも少なくありません。
フローレンスでは病児保育に力を入れることで、小さい子どもを持つお母さんが心から安心して働けるような環境を整えています。
渋谷区の待機児童問題解消に向けた新たな試みとして、「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」があります。
「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」は日本初のクラウドファンディングによって設立された保育施設であり、つながりシェア保育園という名前の通り、子どもを育てるというプロセスを社会全体でシェアしていこうというコンセプトが徹底されています。
「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」の園内はとても開放的な雰囲気であり、遊具のレイアウトも子どもが使いやすいように配慮されています。
「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」なら、カリキュラムも充実。徹底した子ども目線が貫かれており、保育スタッフが一方的に指示するのではなく、子どもが主体的に目標を立て、能動的に社会に関わっていけるような取り組みを続けています。
「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」の詳しい入園条件については、公式ウェブサイトでご確認ください。
渋谷区の待機児童対策について具体的に見てきました。
待機児童問題は全国的に深刻化しており、渋谷区の保育園でも待機児童数がなかなか減らないという厳しい状況があります。
しかし、渋谷区ではNPO法人や民間企業と連携した対策が進められており、また、子育て特区に指定される可能性もありますので、ファミリー世帯にとっても暮らしやすい地域になりつつあります。