所有する土地を売却しようと考えているが、どこまでが自分の所有地であるかわからないというケースも少なくありません。
とくに、土地の購入から大きく年数が経過していたり、相続した土地だったりする場合は境界線をきちんと把握できていない傾向にあります。
そこで今回は、土地の売却を検討している方に向けて、そもそも土地の境界線とはなにか、その必要性をご紹介します。
土地の境界線の調べ方や費用もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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弊社へのお問い合わせはこちら土地の売却に重要な「境界線」とは?なぜ必要なのか
そもそも土地の境界線とは、自分が所有する土地と、所有していない周囲の土地との境目の線を指します。
土地が境界線によって区切られていることで「どこまでが自分の所有地であるか」ということが明確にわかるのです。
土地の境界線がどこまでなのかはっきりわからないまま使用していると、土地の売却時や建物周りの堀や門の整備などをしたときに隣地の所有者とトラブルになってしまいます。
そのようなトラブルを防ぐために、土地の境界線は必ず明確にさせておく必要があります。
ここでは、さらに土地の境界線への理解を深めていきましょう。
土地の境界線は「筆界」と「所有権界」の2種類ある
土地の売却の際に必ず必要となる境界線には、筆界(ひっかい)と所有権界(しょゆうけんかい)の2種類が存在します。
耳馴染みのない言葉ではありますが、土地の境界線を明確にするうえで大切な言葉です。
2つの境界線の違いを把握しておきましょう。
土地の売却の種類①筆界
筆界とは、土地の登記手続きによって定められた土地の境界線で「公法上の境界」とも呼ばれています。
初めて「所有権」が設立された明治初期の地租改正以降、引き継がれ続けている法務局の「地図・公図」に記されているものです。
筆界によって囲まれた土地には、それぞれ番号がつけられています。
筆界は不動産登記法という法律のなかで決められている土地の境界線であるため、自分の一存で勝手に変更したり、隣人との話し合いによって決めたりできるものではありません。
不動産登記法は平成17年に改正をおこなっていますが、筆界はずっと継承されるものであると記載されています。
筆界は目で見えないものなので地図・公図を手がかりに探し出していきますが、なかなか明確に分からないなど売却時に問題が生じることもあります。
そんなケースで活用されているのが「筆界特定制度」です。
筆界特定制度とは、土地を所有する方が筆界による土地の境界線が明確にわからないときに、はっきりさせるための制度です。
土地の所有者の申請内容や筆界の調査委員の意見を含め、筆界を特定する登記官が明確な「筆界」を定めます。
土地の売却の種類②所有権界
もうひとつの土地の境界線は「所有権界」です。
所有権界とは、登記によって定められた筆界とは違い、隣接する土地の所有者同士の話し合いによって決められた境界線です。
所有権界は「私法上の境界」とも呼ばれています。
現地を知る所有者同士が決めた境界線のため、比較的自由な決め方をしているケースも少なくありません。
たとえば、「この石垣を境にしましょう」というものや「垣根のこの部分を境界線に利用しましょう」というケースです。
土地の境界線を所有者間で取り決めているため、ある程度年数がたつと景観が変わり、曖昧になってしまうことも多々あります。
所有権界は所有者同士の話し合いによって変更することが可能ですが、双方が納得せずトラブルになるという事例も見られます。
土地を売却するときの境界線の調べ方は?4つの方法をご紹介
土地を売却するときに必要な境界線の調べ方は複数ありますが、今回は代表的な4つの方法をご紹介します。
境界線の調べ方①公図・地積測量図から確定する
公図とは、住所や土地の形状、土地番号などが記されているもので、地積測量図とは、土地の登記手続きによって確定した境界が記されているものです。
これら2つは法務局が管理しているものであり、信用度がもっとも高いとされています。
一方で、古いものが多かったり、分かりにくかったりと精度が高くないこともあることがデメリットとして挙げられます。
境界線の調べ方②区画整理図面から確定する
もしも、売却を検討している土地が区画整理されている地域にある場合、官公庁が管理している区画整理図面を参考に境界線を確定できる可能性があります。
役場で測量図や区画整理に関する資料を調べ、資料に基づいて現地で検証する方法です。
土地の境界線の目印である境界杭や境界標が見つかれば、所有地であることを立証できるでしょう。
境界線の調べ方③地籍調査図面から確定する
地籍調査図面とは、土地の境目や形状・面積などを明確に記したもので、土地の境界線の調べ方として有効です。
地域によって地籍調査図面の有無は変わりますが、図面を利用して境界線を調べることもあります。
地籍調査図面によって土地の境界線を見つけ出し、測量調査を経てから境界確認の立ち会いをおこないます。
境界線の調べ方④売買契約書から確定する
土地の売買契約書から境界線を調査する方法です。
売買契約書とは、土地の購入・売却時に作成する書類で、対象物の詳細情報が記載されています。
これまでご紹介した公的資料で土地の境界線を調べる方法ではなく、売買契約書などの私的な資料から境界線が判明することもあります。
基本的に売買契約書には隣地との境目を明記することが多いため、境界線を調べる手がかりとなるでしょう。
土地の売却において境界確定測量をおこなう方法や費用の相場
土地の売却において、境界線をはっきりさせるためには「境界確定測量」の実施が必要です。
境界確定測量とは、所有する土地に隣接するすべての土地との境界線について、所有者立会いのもと確認をおこなう測量のことです。
土地の売却において境界線は非常に重要ですが、境界確定測量を実施する費用がどれくらいなのか気になる方も多いでしょう。
ここでは、境界確定測量にかかる費用についてご紹介します。
土地家屋調査士や測量士に依頼した場合の費用
土地の境界線を決める測量には2種類あり、公的機関の立ち会いが必要なものと、必要ないものがあります。
所有する土地と隣地がどちらも民間の土地である場合は公的機関の立ち会いが必要なく、費用は30万円〜50万円程度です。
一方、所有する土地が公的な土地と隣接している場合は公的機関の立ち会いが必要になり、費用は60万円〜80万円程度となります。
また、土地の測量費用は場所や形状、面積によって異なります。
筆界特定制度を申請・利用する場合の費用
土地の境界線を明確にするために筆界特定制度を利用するときは費用が発生します。
筆界特定制度の利用において発生する費用は「手数料」と「測量費用」です。
筆界特定制度の手数料は以下の計算式によって算出できます。
「(所有地の固定資産評価額+対象隣地の固定資産評価額)÷2×0.05」
算出した手数料は収入印紙によって支払います。
測定費用は法務局が定める算出方法によって計算し、測定が実施される前に納める必要があります。
筆界特定制度を利用する場合の費用は、事案によって差がありますが50万円〜80万円程度が相場です。
まとめ
土地の境界線を明確にすると、トラブルのリスクを軽減し、売却もスムーズにおこなうことができます。
境界線の調べ方は複数ありますが、明確にするためには境界確定測量が必要です。
費用目安を参考にして、どの方法で境界線を調べるのか検討してみてください。
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