自身が所有する土地には、一体どれくらいの価値があるのでしょうか?
土地の価格、つまり地価は主に「需要と供給のバランス」によって決まりますがそれだけではありません。
土地は車やテレビのように大量生産されるものではなく、世界にただひとつのもの。
土地の広さや形状、道路に面しているかどうか、主要駅から近いか、流通量など総合的な観点から地価が判断されます。
このとき地価を算出するために役立つのが「路線価」ですが、へき地などのエリアではこの路線価がありません。
ではどうすれば地価が算出できるのでしょうか?
今回は地価の計算方法についてまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
<路線価を基準にして地価を算出する方法>
もし親族から土地を相続した場合、一定金額以上の価値があることが判明すると相続税が課税されます。
このとき一番気になるのが相続した土地の価格ですね。
地価算出の方法は2つあり「路線価方式」と「倍率方式」に分けられます。
路線価方式は国税庁が公表している路線価図を参考に、誰でも簡単に地価(概算額)を算出できるものです。
<路線価方式の考え方>
国税庁のHPでは日本地図をクリックすれば、お住まいの地域の路線価を簡単にチェックできるようになっています。
まずはお住まいのエリアに「路線価が設定されているか」を確認してみてください。
都市部や繁華街、人気のある住宅地、商業地などは路線価が決められていますので一度ご覧いただくことをおすすめします。
路線価が判明すれば、それに「地価を知りたい土地の広さ」をかければ簡単に地価を算出することが可能です。
※計算式
地価=「路線価」×「地価を知りたい土地の広さ」
<実際の地価にはさまざまな「補正」がかかる>
上記のように路線価と土地の広さをかければ、標準的な地価が判明します。
ところが以下のようなケースでは地価に補正がかかり、概算額が変動する可能性がありますので注意してください。
・道路に面した部分が大きいほど評価が高くなるが、角地では使い勝手が悪くなり補正される可能性がある。
・「三角地」など整っていない土地は使い勝手が悪いため地価が下がる可能性がある。
・斜面を含む土地は、実際に使える部分が少ないので地価が下がる傾向にある。
・間口に対して奥行が深すぎる土地は、使い勝手が悪いため地価が補正される傾向にある。
・道路に接していない土地は価値が下がる可能性がある
その他、補正される要素がいくつかあります。
正確な地価が知りたい方は、不動産会社の担当者や税理士など専門家に相談してみましょう。
<倍率方式とはどのような評価方法?>
日本全国すべての土地に路線価が設定されているわけではなく、へき地に行くと路線価が設定されていない場所(倍率地域)も多数あります。
路線価が設定されていない場合は、「倍率方式」によって地価を算定することになります。
この倍率方式の基本となっているのが「固定資産税評価額」で、毎年固定資産税の支払額根拠となるものです。
倍率方式とは、この固定資産税評価額に対し国税局長が定める「一定の倍率」をかけることで、相続税評価額が求められることをいいます。
<倍率方式の考え方>
固定資産税評価額を把握するためには、毎年市町村役場や区役所から送られてくる固定資産税課税明細(納税通知書)をチェックしてください。
この金額をチェックすることで地価をある程度把握することができます。
しかし、重要なのはそのあとです。
国税局のHPで、該当する土地の固定資産税評価額の倍率を調査し、指定された倍率をかけて補正しなければなりません。
※路線価・評価倍率を知りたい方はこちら|路線価図・評価倍率表
路線価方式でも倍率方式でも、国税庁のHPをチェックする必要がありますので覚えておいてください。
<固定資産税評価額の倍率に関して>
宅地に対する固定資産税評価額の倍率は、日本全国一律ではないためお気をつけください。
住んでいる土地、相続する土地の相続税評価額は各エリアの相続税評価額倍率をしっかりとチェックし、確認することが重要です。
<東京都渋谷区に土地を所有している場合は?>
渋谷区の場合は全域路線価が設定されているため、倍率方式を使う必要はありません。
国税庁の路線価図から、東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目3番地の図面を見てみましょう。
道路には900Cと書かれています。
場合によっては800Aや500Dなど、数字の後ろにA~Gのアルファベットがついていますが、これは「借地権」を表記するためのもので、固定資産税評価額や相続税評価額の計算には一切関係ありません。
この900Cは1㎡あたりの路線価を意味しており、千円単位での表記になっています。
つまりこの住所の路線価は1㎡あたり、
900千円=90万円
となり、100㎡の土地をもっている場合、相続税評価額(概算)は以下のようになります。
90万円×100㎡=9,000万円
ちなみに相続税は「遺産総額が3,600万円以下の場合は相続税がかからない」という原則がありますがこのケースでは基準となる3,600万円を大きく超えていますので、相続税が課税される可能性が非常に高くなっています。
東京都23区をふくめた首都圏の土地は、地価が高いため「相続税対策が必要」という意見に説得力が出てきますね。
<大分県別府市鳥越の場合>
別府市は全国的にも有名な温泉地・温泉街があり、そのため路線価も市内全域に指定されています。
それでも繁華街や住宅地以外の土地では路線価が決められていないケースもあり、その場合は別府市内で適用される倍率表から倍率を計算することになります。
別府市内の鳥越エリアは路線価がなく、「固定資産税評価額」を元にした倍率方式を採用します。
もし固定資産税評価額が1㎡あたり2万円で300㎡の土地を相続したとすると、
2万円×300㎡=600万円
固定資産税評価額は600万円になりますが、別府市の場合は別府税務署により宅地に対する倍率が1.1倍と定められているため、
600万円×1.1=660万円
この660万円が相続税評価額となります。
3,600万円までは非課税なので、この場合、相続した遺産が土地だけであれば課税される可能性はありません。
このケースでは別府税務署に相続税の申告をする必要はありません。
<土地を売却するときも効果を発揮する>
今回は路線価方式と倍率方式での地価計算方法をチェックしました。
遺産相続で土地にどれだけの価値があるかどうか、課税対象額を概算するために使えるこれらの方法ですが、自己所有する土地を売却する際にも大いに役立ちます。
路線価が決まっている場所であれば国税局のHPで路線価を調査し、土地の広さを掛ければ地価の概算が算出可能です。
もちろん道路に接する長さや、「角地であるかどうか」「土地の形状」「がけ地であるかどうか」などを基準として、細かい補正がかかりますが、地価をある程度把握できることは大きな強みです。
地価を計算して1,000万円の価値があると把握できているのに500万円の金額でしか売れないとなると、なにか土地に問題があるかもしれませんよね。
不動産会社をとおして売却する場合、路線価を根拠に「安く売られる理由」を聞き疑問を解消することもできます。
これから土地を購入したい方、売却したい方、土地を相続する可能性のある方は土地の評価方法についてチェックしておくことをおすすめします。
※弊社でも土地の売却に関するご相談を受け付けております!
今回は土地の評価方法についてご紹介しました。
路線価方式と倍率方式の2つの方法がありますが、路線価が設定されている土地は前者を、路線価が設定されていない土地は後者を使用して地価を計算します。
国税局のHPで路線価や倍率を調べることで簡単に把握することができますので、ぜひ参考にしてみてください。