日本の森林は、国土面積の約7割を占めていますが、手入れがされず荒廃している森林が多く存在しています。
森林の荒廃が進むと、豪雨や台風による土砂災害のリスク増加、二酸化炭素の吸収量低下へとつながるのです。
荒廃の原因は、国産の木材の需要低迷や林業の衰退であり、日本は世界有数の森林大国でありながらも、さまざまな問題を抱えています。
都会に住む方にとってあまり馴染みがないと感じる森林、林業ですが、私たちの見えない部分で大きな役割を果たしていました。
そこで、日本の森林事情を解消に導くために生まれたのが「みなと森と水会議」です。
この記事では、みなと森と水会議の概要と、環境対策について詳しくご紹介します。
みなと森と水会議は、通称「uni4m(ユニフォーム)」と呼ばれており、各自治体と連携して、林業・木材活用の促進・森林資源の保全などを行うさまざまな取り組みのことを言います。
<みなと森と水会議の目的>
みなと森と水会議は、「uni4m(ユニフォーム)」の協定内容に沿って港区と各自治体が連携し、林業への関心と意欲向上・森林整備・国産の木材活用促進・地球温暖化対策がメインの目的となります。
子どもたちや若い世代にも林業や森林、地球環境について考えてもらい、将来の日本、世界規模での環境問題に取り組んでもらうことが目的のひとつといえるでしょう。
森林を持つ自治体は、港区と「間伐材を始めとした国産材の活用促進に関する協定」を結び、「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度(通称 みなとモデル)」をもとに、各自治体から港区へ木材の供給促進を図ります。
<みなとモデルのポイント>
需要が低迷している国産の木材を、港区で利用することにより、森林整備や環境保全へとつなげることが、みなとモデルのポイントです。
港区は、区内で延床面積5,000平方メートル以上の建築を行う建築主に対して、一定以上の協定木材をはじめとした国産木材の使用を義務付けています。
この協定木材とは、港区と協定を締結した自治体の森林で生産された木材・木材製品で、伐採地において、確実な更新が担保されている森林から産出された木材・木材製品のことを言います。
<登録事業者にはメリットがある>
上記で紹介した、みなとモデルのポイントがこの取り組みの重要な部分でありますが、もちろん登録事業者である企業にもメリットがあります。
まず挙げられるメリットとしては、港区と協定を結ぶことにより、新たな販路の拡大が期待できることがあります。
港区は、建築主に登録事業者から協定木材を調達するように促すため、港区の建設現場へ木材・木材製品の供給機会が増えることになります。
次に、みなと森と水会議のwebサイト上に、企業のPRや協定木材製品の紹介ができることです。
港区で建築を行う建築主は、このwebサイトで協定木材製品の情報や、取り扱い企業の情報を得ることになるため、効果的な宣伝が期待できます。
このように、協定を結ぶことは企業の宣伝、販売促進につながり、今まで以上のさまざまなメリットが得られるでしょう。
各自治体により多少異なりますが、事業者となる条件として、
・協定木材と、その他の木材を分別して加工、出荷ができること
・協定木材の取り扱い実績を1年に1回、自治体に提出すること
・協定木材製品を出荷する際に、納品書にuni4mマークを付記すること
このようなものがあります。
事業者の登録は、各自治体から受け付けているので、webサイトもしくは自治体の窓口で相談をしてみましょう。
港区ではまちづくりの一環として、地球環境に対するさまざまな取り組みを行っています。
小中学生が対象のものから、企業向けの対策まで港区独自の取り組みがあるため、区民全員で協力しながら、環境改善に対する意識向上をしていきたいですね。
ここでは、みなと森と水会議を含む、地球温暖化対策と省エネ活動について紹介します。
<みなと森と水会議は定期的にイベントを開催>
みなと森と水会議は、森の恵みや森林保全の大切さを知ってもらうために、林業の現場見学のワークショップや、自治体とのグルメコラボ、サミットが行われています。
ワークショップは親子で参加できるものであり、誰もが環境について今一度考える機会となるでしょう。
2019年のワークショップでは、おしゃれなデザイナーズチェア作り、丸太切り、割り箸づくり体験が行われました。
木材を、見て、触れて、感じることのできるプログラムは、みなと森と水会議ならではですね。
<地球温暖化対策>
2016年度における港区の二酸化炭素排出量は、東京都内の市区町村のなかで最も多いといったデータがあり、1990年度と比較すると30パーセント近く増加しています。
周知の事実ですが、二酸化炭素排出量が増加することは、地球温暖化を招くと考えられており、気候変動により自然環境や私たちの生活に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。
これにより、木材の適切な活用が重要視され、テナント店舗の内外装や家具で、目に見える場所に木材を使用した際の経費を助成する制度が設けられました。
店舗経営者には、協定木材のPRなどが義務づけるなどの要件がありますが、さまざまな方面から地球温暖化対策が行われていることがわかります。
<省エネルギー活動普及啓発>
港区では、節電などの省エネ化やヒートアイランド現象への対策として、緑のカーテンプロジェクトが行われています。
緑のカーテンとは、建物の壁面にゴーヤやアサガオなどのつる性植物を育てて、カーテンのように建物を覆い、夏の日差しを和らげてエアコンの冷房負荷を軽減するといったものです。
このプロジェクトでは、区遊施設に緑のカーテンの設置をしたり、効果や育て方などの講習会、カーテン用の苗を配布したりするといった取り組みが行われています。
港区役所では緑のカーテンの実証実験として、緑のカーテンを設置している部分は、していない部分を比べて、3.4℃ほどの温度差があり、建物の温度上昇抑制効果があるといった検証データを公表しています。
東京都では、低炭素型都市の実現に向けて、独自に中小企業者に「省エネ促進税制」、「次世代自動車の導入促進税制」の2種類の環境減税が設けられています。
新しい設備の導入を検討している港区の事業者の方は、該当するものが出てくる可能性があるので、チェックしておいてくださいね。
<東京都の環境減税の概要>
環境減税は、中小企業が行う温暖化対策の一環として、省エネルギー設備や再生可能エネルギー設備の取得を、税制面から支援するためのものであり、法人事業税・個人事業税を減税する制度です。
省エネ促進税制の対象となる導入推奨機器は、エアコンなどの空調設備、LED照明設備、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー設備などがあります。
照明設備のランプ交換のみは、導入推奨機器にならないなど、設備においては細かな共通事項があるため、詳細については東京都主税局にて確認が必要です。
次世代自動車の導入促進税制は、自動車税種別割の課税が免除されるものであり、以下の条件を満たしている自動車が対象となります(2020年5月現在の情報)
・平成21年度(2009年)から令和2年度(2020年)に初回新規登録を受けたもの
・燃料電池自動車(水素を燃料とするもの)
・電気自動車
・プラグインハイブリッド自動車
(営業用、自家用、個人、法人所有、リース車が対象)
環境に配慮された設備、自動車を導入する際には、ぜひ検討してみてくださいね。
<環境減税対象者>
上記で紹介した環境減税の対象者は、法人と個人で異なるため、以下のおもな要件を確認しておきましょう。
(法人)
・資本金の額が1億円以下の法人
・地球温暖化対策報告書等を提出していること
(個人)
・地球温暖化対策報告書等を提出していること
地球温暖化対策報告書は、環境局webサイトに掲載されている書類であり、減税を受けるために必要なものとなります。
<手続き方法>
法人、個人いずれの場合も、減免申請書に必要書類を添付して、都税事務所(支所)または支庁に提出することにより、環境減税手続きができます。
法人は、「減免を受けようとする事業年度の法人税の納期限まで」、個人は、「減免を受けようとする年度の個人事業税の納期限まで」が期限となっております。
この申請期限を過ぎてしまうと、減免を受けることができなくなるので、できるだけ早めに申請をしておきましょう。
申請書類は、東京都主税局の環境減税についてのページで、PDFファイルなどを確認できます。(<東京版>環境減税について)
昨今の自然災害増加によって、より多くの人が地球温暖化に注目するようになりました。
諸外国で起きている大きな被害や日本各地で起こる災害は、対岸の火事ではなく、どこでも発生する可能性があります。
港区をはじめとする自治体の支援や助成を利用しながら、ひとりひとりが環境に対する意識を高めて、私たちの住む地球を守っていきましょう。