安定した資産形成を考えるうえで重要なのが、資産分散です。
資産分散のひとつとして不動産が入っており、不動産は、一般的な株式などの金融商品と比べて活用の幅の広さがメリットといえるでしょう。
この記事では、不動産を中心とする資産分散の考え方、メリットについて紹介します。
資産分散といえば、一般的には株式投資において、「異なる性質を持つもの同士を持つ」ことを言いますが、これは不動産にも同様のことがいえるでしょう。
ここでは、資産三分法のおもな内容と、不動産の資産分散について解説します。
<資産三分法の概要>
資産三分法とは、資産を異なる3つの項目にわけて投資するポートフォリオ理論です。
3つの資産とは一般的に、土地や建物などの「不動産」、「現金(金融資産)」、「株式」で構成されています。
同じ性質を持つ資産だけに投資をすると、価格下落などの影響で大きな損失が出てしまうため、少しでも損失を軽減させるために、資産を分散しておく考え方となります。
<金融資産三分法とは>
資産三分法のなかの一つである、「金融資産資産」は、「流動性資産」「目的別資産」「余剰資産」の3種類に分類されます。
これを金融資産三分法と言います。
投資をスタートする際には、資産をどの程度使用するかを綿密に計画をしておきましょう。
①流動性資産
流動性資産とは、日常的に使用するお金を指します。
このお金を資金運用にまわしてしまうと、万が一の際に使えなくなるので、普通預金もしくは保険で管理をするのが一般的です。
②目的別資産
目的別資産とは、3年以内に使用目的の決まった資産を指します。
たとえば、自動車の買い換え、マンションの頭金などの目的の決まった資金はできるだけ元本を割り込まない運用をするとよいでしょう。
目的別資産においては、定期預金や投資信託などで管理するのがおすすめです。
③余剰資産
余剰資産とは、上記で紹介した流動性資産と目的別資産以外の資産を指します。
余裕資産とも呼ばれ、当面使う予定のない資産、いわば多少減ってしまっても生活に影響を与えないお金であり、このお金を投資に使用するのが一般的です。
<資産三分法に不動産投資を取り入れるために>
不動産投資で収入を得る方法には、2つの種類があります。
購入した不動産を人に貸して賃料収入を得る「インカムゲイン」、または不動産を購入した金額以上の金額で売却することで利益を得る「キャピタルゲイン」がありますが、長期的な目線で見る時は、前者のインカムゲインは一般的といわれています。
不動産投資は、株式投資とは異なり、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品といわれており、短期間に大幅に価格が上下動することは少ないことがポイントです。
昨今は、預貯金にほとんど利子がつかない低金利の状況であることや、将来の年金の不安を要因として、不動産投資に注目が集まっています。
資産分散を検討している方は、上記のようなポイントを押さえたうえで、不動産投資を取り入れてみてはいかがでしょうか?
資産三分法では不動産、金融資産、株式に分散させますが、資産を均等に分散することではありません。
資産の分散比率は、リスクに対する許容度や貯蓄などで決めるとよいでしょう。
ここでは、不動産を含めた資産を分散する3つのメリットを紹介します。
<万が一のダメージを軽減できる>
資産分配の大きなメリットとして、万が一保有する資産の価値が下落した時、損失が少なくできることが挙げられます。
例えば、資産を分配せず資金をすべて株式投資に使用した時、保有する株式が大幅な下落すると、資産のほとんどを失いかねません。
資産を分配し、資金のうち30パーセントの比率で、株式投資を行っていれば、その30パーセントのうちのいくらかを失うことになるので、ダメージが減らせるでしょう。
不動産と金融資産は、株式と同じタイミングで下落することはほとんどないといわれており、リスクの分散となるのです。
<長期投資で安定する可能性がある>
長期投資をするのであれば資産分散により、利益の面でメリットが高くなる可能性があります。
資産を分散することにより、資産全体の値動きの変動が小さくなる傾向にあり、安定したリターンが期待できるでしょう。
あくまで、短期的に投資をした場合との比較であるため、定年後などの少し先の将来を考えて投資する方向けのメリットです。
<災害などによるリスクに対処ができる>
不動産における資産分散では、自然災害、事故などの突発的なトラブルにも対処ができます。
たとえば、同じ地域に複数の物件を所有している時、自然災害でその地域に多大な影響が出た場合、すべての不動産に影響をもたらす可能性が出てくるでしょう。
このようなことを防ぐために、異なる性質を持つエリアに不動産を分散させておけば、特定の地域のみの被害で防げる可能性があります。
株式投資と同様に、似た性質の商品に偏るとリスクが高くなるので、不動産投資においても分散を意識しましょう。
記事で紹介しているとおり、資産分散することによるメリットがいくつかありますが、資産を分散するための方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
不動産投資の資産分散をはじめとする、リスク分散について解説します。
<不動産投資における資産分散>
不動産投資における資産分散は、異なる性質を持つ物件を所有することです。
異なる性質とは、物件のエリア、建物の種類、ターゲット(顧客)などがあります。
まず、物件のエリアの分散では、都心部と地方といったようにエリア分けをすれば、地震や台風などの突発的な自然災害によるリスク軽減につながります。
次に建物の種類による分散は、一戸建て、マンション、アパートといったものであり、いずれかに偏らないように保有することです。
単身者、ファミリー向けなどにわけることも、不動産投資の資産分散となります。
そしてターゲット(顧客)の分散では、一戸建てやマンション以外にも、駐車場やオフィスなど、用途の異なる物件の保有があります。
リスクを軽減する面では、ターゲットの分散も効果的といわれているため、住居だけにこだわらないのもひとつの手段です。
<相関度が低いまたは逆相関の資産を組み合わせる>
株式投資において、相関度が低いものや逆相関の資産を組み合わせるのは、一般的な考え方です。
相関度が高いもの同士を組み合わせると、どちらか一方の価格が下落した時、同じように下落をしてしまいます。
相関度が低い、または相関度が逆のものを組み合わせれば、どちらか一方の価格が下落したとしても、もう一方の商品は下落をせず、損失が半分程度で済むこともあるでしょう。
相関度は各企業などでリサーチされており、「分散投資 相関関係」といったキーワードで検索すると、各株式がどの株式と相関度が低いのかを調べられます。
<リスクの度合いを考慮して配分比率を考える>
資産運用におけるリスクとは、値動きの変動幅を意味します。
資産分散では、相関度以外にも、リスクの度合いでバランスをとって投資するのもひとつの方法です。
たとえば、世界株式のリスク量が20%、日本国債のリスク量が2%だった場合、世界株式のほうが10倍近く変動することが予想できます。
仮に、世界株式と日本国債を50%ずつ保有すると、世界株式の変動が起こった際には大きな影響を受けるでしょう。
これを解消するためには、リスクの低い日本国債を、世界株式の10倍保有すると、丁度よい水準になるといわれています。
資産分散における不動産は、ほかの資産よりも安定しやすく、資産を増やす役割があるといえます。
どのような投資をする場合でもリスクは付きものではありますが、資産を分散することによりデメリットを減らすことができるでしょう。