不動産の購入を検討していると、「現状渡し」というワードを目にすることがあるでしょう。
現状渡しとは、「現状有姿取引」「現状有姿」などと表現されることもあり、物件をそのままの状態で購入することをいいます。
この記事では、現状渡しの物件を購入するメリット・デメリット、注意点について解説します。
不動産の購入を検討中の方は、ぜひ参考にご覧ください。
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まずは、現状渡しとはなにかを知っておきましょう。
現状渡しとは?
現状渡しとは、物件の瑕疵(欠陥)を修繕せずに売買することです。
たとえば、以下のような状態が瑕疵にあたります。
●壁紙が一部剥がれている
●扉の建て付けが悪い
●雨漏りしているなど
現状渡しでは、これらの瑕疵を買主に申告したうえで、そのままの状態で物件が売却されます。
一般的には物件の瑕疵を修繕してから引き渡しをおこないますが、売主の意向によっては現状渡しで取引されることも少なくありません。
「現状渡し=家具家電もそのまま」ではない
現状渡しと聞くと、家具や家電もそのままの状態と思う方もいますが、そうではありません。
現状のまま引き受けるのは「設備」のみで、売主が家具や家電を撤去したあとの「空渡し」が基本になります。
ただし、買主と売主の間で合意が得られれば、家具や家電をそのままの状態で引き渡しを受けられます。
現状渡しの法的範囲
現状のまま不動産を売却されるからといって、「売主は瑕疵について責任を負わなくて良い」というわけではありません。
現状渡しの場合、売主には以下のような義務や責任が生じます。
告知義務
物件の引き渡し時、売主は買主へ瑕疵について告知をしなければなりません。
具体的には、物件の欠陥部分を契約書に記載します。
たとえば「リビングで雨漏りがある」「建物に傾きがある」などです。
このように、瑕疵について買主へ告知しなければならないことを「告知義務」といいます。
売主がこの告知義務を怠った場合、買主は損害賠償や契約の解除を請求できます。
契約不適合責任
契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約と異なる場合に売主が負う責任のことです。
契約書に記載されていない瑕疵があとから発覚した際には、売主へ追完請求(修補請求など)ができます。
ここでのポイントは、「売主が知っている知らないに関わらず、契約書に記載のない欠陥が発覚した場合には売主が責任を負う」ということです。
以前の法律では、売主も知らない隠れた瑕疵(シロアリなど)に関しては、売主は責任を負わなくて良いとされていました。
しかし、2020年の民法改正によって現在の契約不適合責任の概念に置き換わり、売主の責任はより重くなっています。
なお、追完請求に応じてもらえない場合には、売主に対して損害賠償の請求が可能です。
不動産を現状渡しで購入するメリット・デメリット
ここでは、現状渡しで不動産を購入するメリット・デメリットについて解説します。
メリットとデメリットの両方を理解したうえで、現状渡しの物件を選ぶか検討しましょう。
まずはメリットからご紹介します。
メリット①相場価格よりも安く買える
現状渡しの物件は、相場よりも安い価格で売りに出されていることが多いです。
傷や破損がある物件は、きれいに修繕された物件と比べてどうしても売れにくくなってしまいます。
そこで価格を落として、買主がメリットを感じられるようにしているのです。
現状渡しであれば、価格相場が高いエリアでも安くで購入できる可能性があります。
また、物件に大きな傷や汚れがある場合には、値引き交渉もしやすくなるでしょう。
メリット②好きなようにリフォームできる
中古物件を探している方のなかには、安くで購入して好きなようにリフォームしたいという方も多いでしょう。
リフォームや補修がされた物件では、その分費用も高く、また内装や間取りが自分好みでないというケースもあります。
現状渡しであれば相場よりも安くで購入して、自分の好きなようにリフォームができるという点はメリットです。
バリアフリーにしたい、スキップフロアをつくりたいなど大幅なリフォームをしたい場合には、現状渡しの物件を検討してみると良いでしょう。
メリット③成約までがスピーディー
中古住宅の購入においては、補修工事やリフォームが必要で引き渡しまでに時間がかかることがあります。
現状渡しではこのような期間がなく、すぐに買い取れるという点もメリットでしょう。
一方でデメリットも
設備の状態によっては、大掛かりな修繕が必要なこともあります。
修繕済みで売られている物件は、工事費用も物件価格に含まれているため、あとから修繕費用について心配することはありません。
一方、現状渡しの場合は、補修や工事にどれほどの金額がかかるのかわからないという不安があります。
物件を安く購入できたものの、思ったよりも修繕費用が高額になってしまう可能性もあるでしょう。
とくに築年数が古く老朽化が進んだ物件では、修繕費用が高額になりやすいです。
不動産を現状渡しで購入する際の注意点
不動産を現状渡しで購入する際、もっとも注意しなければならないのが購入後のトラブルです。
欠陥についての認識が買主と売主の間で違っていると、購入後にトラブルになる可能性があります。
不動産を現状渡しで購入する際は、以下の点に気を付けてトラブルを防止しましょう。
契約を結ぶ前に契約書をしっかり確認する
瑕疵の内容や契約不適合責任の詳細などは、契約書に記載されています。
特約が定められている場合もあるため、契約書は契約を結ぶ前に確認することが大切です。
たとえば、契約不適合責任の期間は最長1年間と定められていますが、特約で1年以内に設定されていることもあります。
この場合、物件の引き渡し後契約書に記載のない欠陥がみつかっても、その期限を越えていたら売主の責任ではありません。
トラブルになるのを避けるためにも、契約書の内容は事前に確認し、不明点は不動産会社へ質問するようにしましょう。
取引の前にインスペクションを実施する
契約書に記載された瑕疵以外に問題がないか知りたい場合には、インスペクションをおこなうという選択肢もあります。
インスペクションとは、物件の品質に問題がないか第三者機関が検査することです。
たとえば、以下のような検査項目があります。
●建物の主要部分:ひび割れ・腐食・雨漏り・シロアリ被害の有無など
●屋根や外壁:外壁材の剥がれや破損・サッシ周辺の隙間・雨漏りの有無など
●給排水管:詰まり・水漏れ・赤水がないかなど
インスペクションをおこなうと客観的に家の不具合や状態が把握できるため、購入後のトラブル防止につながります。
また、修繕箇所が明確になり、修繕費用の目安が把握できるという点もメリットでしょう。
ただし、インスペクションをおこなうには売主の同意が必要です。
売主が許可しない場合、引き渡し前のインスペクションは実施できません。
まずは不動産会社へ相談してみると良いでしょう。
まとめ
今回は、不動産購入における現状渡しのメリットや注意点について解説しました。
現状渡しのメリットは、安く購入できて好きなようにリフォームができるという点です。
一方で、修繕費用が高額になる、引き渡し後にトラブルになるケースが多いなどの注意点もあります。
不動産を現状渡しで購入する場合には、契約書の確認は入念におこない、双方が納得したうえで売買契約を結びましょう。
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