日本では以前から住宅の室内扉を「建具(たてぐ)」と呼んでいました。
建築の用語には日本ならではの呼び方がありますね。
今回は、室内扉について呼び方の違いや特徴について説明します。
また、室内扉にはそれぞれに適した用途があるので特徴に合わせた選び方も解説していきます。
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住宅に使われる室内扉は大きく分けて「開き戸」「引き戸」「折れ戸」の3つの種類があります。
開き戸
開き戸とは、扉の片側が蝶番を使って固定されていて開閉する扉のことです。
扉を引っ張るほうから見て右と左を決めるので、右に蝶番があれば「右吊元」左の場合には「左吊元」といいます。
また開き戸は「片開き戸」と「両開き戸」に分類できます。
片開き戸
扉が一枚の開き戸です。
両開き戸
扉が二枚で両側に開くので「観音開き」と言われます。
親子ドア
門扉でよく使われているのが「親子ドア」です。
普段使いの親ドアと少し小さめの子ドアを組みあわせています。
自在戸
いわゆるスイングドアです。
開き戸は、戸当たりという枠で扉が止まるようになっていますが、戸当たりがなく内外自在に開きます。
ほかにも、板戸や帯戸、ガラスを組み込んだ採光ドアなどさまざまなデザインの開き戸があります。
引き戸(吊り戸)
引き戸とは、いわゆるスライドドアで、押入れの襖のように、上下の溝(レール)に扉を滑らせて開閉します。
引き戸には、「片引き戸」、「引き違い戸」、「引き分け戸」があります。
片引き戸
扉が一枚で、控え壁が必要です。
引き違い戸
和室の押し入れの襖のタイプです。
レールが二本あり、左右で引き違うことができます。
引き分け戸
二枚の戸板を真ん中で合わせているものでレールは一本です。
二枚の扉を左右にスライドさせて開きます。
デザインや形で戸襖(とぶすま)や吊り戸など4つの種類に分けられます。
戸襖(とぶすま)
扉の表と裏のデザインを変える扉です。
吊り戸
バリアフリーのためにレールを設置せず上部から吊り下げます。
パネルドア
パネルを複数枚吊り下げてレールを滑らせるタイプの間仕切りです。
会議場やバンケットホールなど大きな広間によく使われています。
バーンドア
上部にレールと滑車があるスライドドアの構造で、アメリカなどの農場の納屋の扉です。
最近では室内にも使われるようになってきました。
折れ戸
折れ戸は扉の真ん中が折れてコンパクトに開く扉です。
折れ戸には「両折れ戸」と「中折れ戸」の2つのタイプがあります。
中折れ戸
扉が一枚で半分に折れて開きます。
両折れ戸
扉が二枚以上で左右に開きそれぞれの扉が真ん中で折れます。
住宅の各室内扉の特徴
ここからは「開き戸」「引き戸」「折れ戸」それぞれの特徴を解説します。
開き戸の特徴
開き戸の大きな特徴は、蝶番があること、内開きと外開きの区別があること、密閉性が高いことです。
用途も多様で出入口全般に使われます。
内開きと外開き
個室の出入り口に使う開き戸には、「内開き」と「外開き」の2つの種類があります。
個室に多く使われるのが「内開き戸」です。
廊下や室外のスペースが狭く、人とぶつかるのを避けるためです。
密閉性が高い
開き戸は、扉の枠に設けた戸当たりで扉を止めます。そのため、扉と戸当たりで密閉性が造られるのです。
両開き戸や、親子ドアの場合には片方に受けを作ることで、密閉性を高めます。
ただし、スイングドア(自在戸)は戸当たりがないので当てはまりません。
開き戸のデメリット
開き戸は開いたほうに、扉一枚分のスペースがないと開きません。
通路など人とぶつかることもありますから、ドアを開いても安全なスペースを確保する必要があります。
引き戸(吊り戸)の特徴
引き戸の一番の特徴は、ドア周囲のスペースが狭くても取り付けられることです。
ほかにも、開放感が生まれやすい、通行の障害にならないといった特徴があります。
開放感が生まれる
引き戸の場合は少し開けておく、開けたままにしておくことができます。
とくに戸袋引き込みタイプの場合には戸をすべて収納できるので開放感が生まれます。
人や物の通行を邪魔しない
扉を開けたままにしておけるので、荷物の出し入れや人の移動の際に扉が邪魔になりません。
安全かつバリアフリー向き
扉を大きく開くことがありませんから、人とぶつかる危険性がありません。
また吊り戸にすれば、足元に溝(レール)を作る必要がないのも特徴の一つです。足元がフラットなのでバリアフリーに向いています。
引き戸のデメリット
引き戸のデメリットは「控え壁」が必要なこと。
片引き戸や引き分け戸は控え壁と言って壁が扉の枚数分使えません。
戸袋に引き込むタイプも戸袋のある壁には、コンセントなどを作ることができません。
壁の面積が大きくないと作れない扉といえます。
折れ戸の特徴
折れ戸は扉を開いたときのスペースが片開き戸の3分の1、引き戸に必要な控え壁などのデッドスペースがないのが特徴です。
上吊り式のためレールがなく足元の引っ掛かりがありません。
レールがないので掃除が楽です。
扉の開閉には少ない労力で済むため体の不自由な方にもおすすめできます。
折れ戸のデメリット
開口部に折り曲げた扉が残るため、全開口部の活用ができません。
扉を開いた際のスペースを確保しなくてはならないわけです。
また、折れ戸タイプの間仕切り戸の場合は、埋め込み下レールが必要になるため床面にレール用の溝が必要です。
折れ戸は、ほかの扉に比べて構造がやや複雑であるため、設置コストが高くなります。
住宅での室内扉の選び方
以上のように多種多様な室内扉を選ぶときに、迷ってしまうことがあります。
そこで、室内扉の選び方について気を付けることは、
①扉を開けたときのスペースが十分にあるか
②暮らしやすい扉であるか
③安全に暮らせるか
の3つです。
この3つをふまえて室内扉を選ぶためには、密閉性や遮蔽性、安全性などに注意するといいでしょう。
個室スペースには開き戸が適している
冷暖房や音などがあまり漏れないようにするには開き戸が適しています。
寝室や子ども部屋などの個室スペースの出入り口には開き戸を選ぶことが多いのは、プライベートを分ける遮蔽性と密閉性に優れているからでしょう。
ただし、安全性を考えるなら、二階の階段の前にある部屋は片引き戸を選んでもいいかもしれません。
リビングには親子ドア
リビングの出入り口のように大きな荷物の搬入が考えられる場所には親子ドアがおすすめです。
またガラスを使ったデザインを選ぶとリビング全体への採光にも優れていますし、家族の動きを感じることもできます。
洗面所、脱衣所に適しているのは引き戸または折れ戸
引き戸は、洗面所、脱衣所の入口に使うことが多いようです。
引き戸を大きく開放すれば、お風呂の前の脱衣所にたまった湿気を逃がせるからです。
ただ、日本の脱衣所やお風呂はスペースが限られているので、コンパクトな折れ戸も適しています。
トイレは、外開き戸が一般的
トイレには外開き戸が使われるのが一般的です。
内開き戸の場合、人がトイレ内で倒れたときに人の体が障害物となって扉が開かなくなり、助けにくくなるためです。
ただし、駅やデパートなどの公共のトイレでは「内開き戸」が使われます。
これは外にいる人にぶつかるのを避けるためと、使用していないトイレの扉を開けっ放しにしていても良いこと、ドアのカギがかけやすいことなどが理由です。
このように、自宅では人命救助の観点から外開き戸、公共の場では人の安全と防犯、使用不使用を見分ける目的で内開き戸が使われています。
もっとも住宅の場合、最近では折れ戸を使うところも増えています。
折れ戸は小さなお子さんや高齢者の小さな力でも開け閉めできますし、構造上、指を挟みにくいからです。
まとめ
日本の建具である扉にはもともと多くの種類があって呼び方も独特でしたね。
海外のデザインや使い方、素材を組み合わせることで新しいものが生まれてきています。
室内扉を選ぶときに、種類がたくさんあって悩むかもしれません。
ですが、いつも使う場所だからこそ、デザインにこだわってみたり、新しい使い方を考えてみたりすることで、生活が生き生きとしてくるかもしれません。
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