みなさんは、被災した際はどんなことに困ると思いますか?
避難場所の確保や食料の確保といった一般的な対策は、日々テレビなどでも促されているので準備している方も多いはずです。
この記事では、それ以外の『災害時に困ること』に注目していきます。
それと同時に、その解決策にはどんなことができるのかを説明していきます。
日本が世界から「地震大国」と呼ばれているのはご存知ですか?
記憶にまだ新しい東日本大震災や阪神大震災といった大きな地震の他にも、日本では大小さまざまな地震が日々起きています。
また、今後数年以内に起こるとも言われている首都直下型地震。
その大きさはマグニチュード7級と予測されており、最悪の場合死者が23,000人・経済損益はおよそ95兆円にもなるとも言われています。
さらに日本の各地では、地震以外にも多くの災害が起こる可能性があります。
台風による豪雨・暴風では、二次災害として土砂崩れなどが起こります。
また、火山の噴火による直接的な被害や、灰による間接的な被害。
豪雪では遭難や自動車事故の誘発など、その被害は図り知ることができません。
それでは、あなたがそんな災害に直面したとして、どんなことで困るでしょうか。
真っ先に浮かぶのは、避難場所の確保や食糧難だと思います。
それらについては、すでに対策をしている・対策をしようと考えている人がほとんどでしょう。
しかし実は、避難場所の確保・食糧難以外に被災した方のほとんどが口を揃えたように言う困りごとがあります。
それが「ライフラインの遮断」です。
ライフラインとは、その名のとおり我々の生命線である電気・ガス・水道などの供給を指します。
災害の規模によっては、このライフラインが途絶えてしまうことがあるのです。
「食料の備えなどは事前に意識していたが、まさかライフラインが止まるとは思わなかった」
「ライフラインが止まってしまうのが、こんなに辛いことだとは思わなかった」
そんな声が、実際に被災された方から非常に多く挙がっています。
では、ライフラインが止まってしまうことで、一体どんなことに困るのでしょうか。
まず、断水が起きた場合ですが、飲み水はもちろんのこと、トイレを流すための水やシャワーを浴びることもできません。
断水が長期に渡る場合には衛生面から体調を崩す人が多く、小さな子どものためのミルクを作るお湯を用意することもできないのです。
次に、停電が起きた場合に一番困るのが食料の保存です。
冷蔵庫などの設備が使えなくなるため、基本的に生ものの保存は効きません。
また、携帯電話の充電もできなくなるので、家族や友人などと連絡を取ることも難しくなります。
ガスが使えなくなった場合には、調理方法に制限が生まれてしまうため、限られたものしか食べることができなくなります。
さらに冬場の寒い時期でも、冷たい水しか使用することができない状況になります。
ライフラインが遮断されると、復旧までにしばらくの時間がかかったり、計画停電のように使用に制限がかかったりします。
特に都市ガスは復旧までに時間がかかることが多く、東日本大震災では復旧に一か月以上かかったエリアも実際にありました。
では、ライフラインが遮断されて困る前に何か備えることはできないのでしょうか。
その解決策は、住宅にあると言われています。
災害時にライフラインが遮断されて困ることがないように、災害に強い家造りが今注目されているのです。
みなさんは、災害に強い家造りと聞いて、どんな住宅を思い浮かべますか?
真っ先に耐震性の高い住宅を思い浮かべる人は多いと思います。
もちろん耐震性を意識した家造りは大切ですが、住宅を建てる際に遵守される建築基準法によって、すでにある程度の耐震性は保障されています。
そして、災害に強い住宅とは何も耐震性の高い住宅だけを指すものではありません。
災害に強い住宅とは、「災害時に柔軟な対応ができる住宅」のことを指すのです。
災害時にライフラインが遮断されにくい工夫や、遮断されたときにどう対応できるのか、が非常に大切なポイントとなります。
また、災害に強い住宅とは、何も設備のことだけではありません。
川が近い地域においては、氾濫する可能性を想定し基礎を上げて対策するなどの、環境に応じた家造りが必要です。
(行政が発行しているハザードマップを参照することで、ある程度災害の予測を立てることが可能です)
中古の住宅を取得する場合、あるいはすでに住宅を所有している場合には、防災に特化したリフォームをおこなうという手もあります。
耐震補強工事を筆頭に、さまざまな防災リフォームがあります。
①耐震補強
年数の経過による柱などの劣化や現行の建築基準法に則していない基礎の補強など、耐震補強の方法はさまざまです。
なかでも手軽にできる方法として、柱や梁など部材と部材を繋いでいる金具を耐震性の高いものに交換、あるいは付加していくというものがあります。
②防火性能の強化
地震などの災害が起きた際、二次災害として一番被害が大きくなると言われているのが火災です。
自分の家からの出火でなくとも、隣家からのもらい火により全焼してしまう家も少なくありません。
昨今、外壁や屋根材の防火性能は年々向上しており、防災リフォームを検討した際に耐震補強と並ぶ、注目のリフォームです。
③暴風・耐衝撃性能の強化
手頃な価格のリフォームとしては、サッシまわりのリフォームがあります。
昨今の窓は二重窓になっており、耐衝撃性を高められる他、断熱性や遮音性にも優れています。
なかには紫外線をカットしてくれるものもあり、お手軽なリフォームとして注目されています。
また、台風などによって飛来する物体への対策は、シャッターを取り付けることで解決します。(既存のシャッターがなくても後付可能な製品があります)
災害に強い住宅設備として、注目されている代表的なものを紹介します。
停電対策として今もっとも注目されている方法です。
送電が止まってしまった場合でも、自宅で発電、あるいは電気を溜めておけば復旧までの間、電気を使用することができます。
電気が使用できれば携帯電話などの連絡手段が使える他、ケトルでお湯を沸かしたり電子レンジの使用ができたりと、さまざまな不便が解消されます。
昨今、IHコンロや電気式の給湯器などの普及により、電気のみで完結した住宅(オール電化)が多くなってきています。
しかし、このオール電化住宅の場合、電気が止まってしまうとお湯を沸かすなどの行為ができなくなってしまいます。
「災害に強い住宅」という観点から見れば、電気とガスを併用した住宅のほうが利便性は高いと言えるでしょう。
電気が止まっていてもガスが、ガスが止まっていても電気があれば、暖を取れますし食料の幅も広がります。
断水時、エコキュートや貯湯式の給湯器など、給湯器のなかには水を取り出して利用できる機種が存在します。
断水してしまうと、私たちの生活にはさまざまな支障が生じます。
特に小さな子どもが居る家庭は、災害時の衛生面が大変気になります。
万が一のことを考え、対応している給湯器を選ぶとよいでしょう。
一般的に災害に備えると言うと、食料や飲み水の確保が代表に挙がりますが、そもそも災害に強い家造りをしておくことで「災害時に困る」ことが少なくなるのです。
新築時や防災リフォームをぜひ検討してみてください。